給食用エプロンや体操着…強い香りで頭痛や吐き気が起きる「香害」とは? 専門家が解説
特に、アレルギーを持っているお子さんは要注意です。アトピー性皮膚炎や小児ぜんそくなど、免疫が過剰に働きやすく、粘膜が刺激を受けやすい体質の人は、化学物質過敏症になりやすいと言われています。 ――わが子が「香害、もしくは化学物質過敏症かも?」と思ったときはどうしたらよいでしょうか。 一番大切なのは、原因となっている香りや物質を遠ざけることです。洗剤や柔軟剤は無香料を選ぶこと。表示されている使用量を超えないようにすること。こまめに換気をすること。アレルギーやぜんそくなどの原因となるダニ、ハウスダストを取り除くためにきちんと掃除をすることです。 ――それでも症状がよくならない場合は、どうしたらよいですか。 小児科を受診して、それ以外の病気がないことを確認しましょう。香害や化学物質過敏症の診断は、おもに問診でおこなわれます。どんなときにどんな症状が出るかなど、項目に基づき詳しく聞いていきます。 お子さんの場合は、基本的には親御さんから話を聞くことになりますので、よく観察して記録をつけておくといいでしょう。お子さんは不調であることを言葉でうまく説明できないため、かんしゃくを起こしたり、無気力になったりしがちです。日常や学校生活に影響が出ることも少なくありません。香害は脳に深く関わっているため、当然、発達にも影響が出てきます。もし特定の香りや環境で同じ不調を感じることが続く場合は、早めに対処してあげてください。 (取材・文/石村紀子) ○坂部 貢(さかべ・こう)/国立大学法人 千葉大学予防医学センター 特任教授。専門は、臨床環境医学、環境保健学、環境生命科学、公衆衛生学、解剖学。プラスチックの原料であるノニールフェノールやビスフェノールAに環境ホルモン作用があることを世界で初めて発見。環境因子と健康影響に関する研究に力を注ぎ、厚生労働省や環境省などの研究チームにも所属。屋外における農薬や除草剤による健康被害などに関する研究にも取り組んでいる。
石村紀子