給食用エプロンや体操着…強い香りで頭痛や吐き気が起きる「香害」とは? 専門家が解説
また、香害と決めつける前に、頭痛や吐き気などの原因が、別の病気ではないということを確認しておくことも重要です。香害だと思い込んでいたら、全然違う病気によるものだったというケースは少なくありませんから。 ■香害を防ぐために、できることは? ――自分が香害の原因とならないために、どんなことに気をつけるとよいですか。 香りの感じ方には個人差があることを、まず認識することです。本当に香りをつけることが必要なのかも考えてみるといいでしょう。やはり香りを楽しみたいという場合は、過剰な香りをつけないように配慮しましょう。 例えば柔軟剤で言えば、パッケージに記載されている「香りの強さの目安」を参考に商品を選ぶこと、そして表示されている使用量を守ることなどは、すぐにできることです。香りを楽しむのは個人の自由です。でも自分にとってのいい香りは、誰かにとっては害かもしれない。そういう意識を持ちながら、適切に香りを楽しむ。そんな心づかいが大切です。 ■香りに敏感な子は「化学物質過敏症」にも要注意 ――香害と似た症状が出るという「化学物質過敏症」とはどんなものでしょうか。 「化学物質過敏症」は、環境や日常的に使用する製品に含まれる化学物質に反応して身体の不調が起こるものです。香害だと思っていたら化学物質過敏症だったというケースはよくあります。化学物質過敏症の人は、嗅覚が敏感である場合が多いので、香りがきっかけで化学物質過敏症を発症したという人も少なくありません。 原因となる物質は、排気ガス、住宅建材、殺虫剤など多岐にわたります。石油などから化学的に合成された香りの成分や、その香りを入れる柔軟剤などのマイクロカプセル素材もその一種です。 化学物質過敏症はある日突然発症します。アレルギーと同様、原因物質にさらされる頻度や量が許容範囲を超えると症状として現れます。香りだけに反応している香害と、化学物質過敏症は厳密には分けて考えたほうがいいですが、香りに過敏に反応する人は、発症リスクが高いと考え、注意するに越したことはありません。