プジョー、17番手から8位入賞。改良型の最高位更新もペースに課題「速くないなら賢く走るしかない」
プジョー・スポールの技術責任者であるオリビエ・ジャンソニは、7月14日(日)にブラジルのインテルラゴスで開催された、WEC世界耐久選手権第5戦で改良型プジョー9X8が8位入賞を果たしたことを軽視した。同氏はこの結果がペースの根本的な改善ではなく、タイヤを「賢く」扱ったおかげだと考えている。 【写真】16位に終わった94号車プジョー9X8(ディ・レスタ/デュバル/バンドーン組) ジャン-エリック・ベルニュ、ニコ・ミューラー、ミケル・イェンセンの3名がドライブする93号車プジョー9X8(プジョー・トタルエナジーズ)は、先週末にインテルラゴスで行われた『サンパウロ6時間』の予選で17番手と低迷したが、決勝レースではこれに比べてはるかに良いリザルトを残し、フランスのメーカーが今年4月のイモラで改良型9X8を投入して以来、最高の成績を収めた。 93号車プジョーが飛躍的にポジションを上げた“キー”は、タイヤのデグラデーション(劣化)が深刻だったこの日、路面温度の低下にともないミディアムタイヤに戻したレース終盤を除いて、ほぼハードタイヤの使用にこだわったことだった。これは、大半のマシンが2回目のピットストップから右側のタイヤを交換していったのに対し、1回目から右側2本のタイヤを交換することを決定したことと関連している。 しかしジャンソニは、戦略を完璧にこなしたことがこの結果につながったと認めながらも、プジョーにとってこの結果が、必ずしも上昇トレンドの始まりだとは考えていない。 「(金曜の)フリープラクティスから、上位を争うだけのペースがないことは分かっていた」とジャンソニはレース後に記者団に語った。 「我々は、アルピーヌやBMW、ランボルギーニと戦うことを目標にしていた。そしてそれが、私たちが成し遂げたことであり、成功したことだ」 「最後の2スティントを見ると、私たちは他の人たちとは違うタイヤ選択をしたことが分かる。デグラデーションが少し心配だったためダブルスティントにはしたくなかったんだ。これは結果的に正しい判断だったと思う」 「(おかげで)2台ともデグラデーション(によるタイムの落ち)が非常に少なかった。ペースがあまり良くなかったにもかかわらず、あの順位でフィニッシュできた理由はそういうことだ」 「オペレーションの面では、たしかにポジティブなレースだったが、ペースはまだ良くない。その中でベストを尽くした。速く走れないなら、賢く走るしかないんだ」 「とはいえ、まだペースを見つけなければならないし、(次戦のCOTAで)良くなるかどうかは分からない」 ■リスク承知のトライ イェンセンはジャンソニのコメントに同意し、プジョー9X8がハードコンパウドタイヤをどのように扱ったかが93号車の結果の重要な要素だったと述べた。 「(決勝日は)気温がかなり高かったので、ハードタイヤを使うことになったが、クルマはそれにうまく対応したようだ」とレースを振り返ったイェンセン。 「(ハードタイヤでの)ペースもまずまずだった」 「チームは第2スティントで右側に新しいタイヤを履かせる戦略をとり、ニコ(・ミューラー)はそこで素晴らしい仕事をしてくれた。そのおかげで12番手から5番手まで順位を上げることができた」 「ハードタイヤのウォームアップはタイムをロスする可能性があり、それにはリスクを伴う。だけど僕たちは後方からのスタートだったから、何かを試す必要があった」 「それが(うまくはまり)僕たちのレースを確実なものにした」 一方、同様の戦略をとっていた、ロイック・デュバル、ポール・ディ・レスタ、ストフェル・バンドーン組の94号車プジョーは、ピットアウト時のアンセーフリリースとデュバルがマルコ・ウィットマンの15号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)をコース外に追いやったこととによる、ふたつのペナルティを受けた後16位でフィニッシュした。 ジャンソニは「この中段グループは非常に接近しており、8番手から14番手までは順位が簡単に変わってしまう」と述べた。 「2台はどちらもほぼ同じ戦略をとっていてペースも似たようなものだった。(94号車が受け取った)ふたつのペナルティが最終結果に大きな違いを生んでいる」 [オートスポーツweb 2024年07月17日]