【F1】フェルスタッペン、「感情がジェットコースター」11戦ぶり勝利 17番グリッドから…悪天候味方に大逆転「信じられないよ」サンパウロ
◇F1 サンパウロGP 第21戦 決勝 3日 インテルラゴスサーキット(ブラジル、4・309キロ×69周) ペン=ルイス・バスコンセロス レッドブルのマックス・フェルスタッペン(27)=オランダ=が雨中で「最高のレース」を見せ、決勝では11戦ぶりとなる今季8勝目(通算62勝目)を挙げた。17番グリッド以下からの大逆転勝利はF1選手権史上5人目。4連覇に向けてランク首位を走る選手部門で2位との差を62ポイントに広げ、次戦ラスベガスGP(24日決勝)でのタイトル決定に王手をかけた。自己ベストの3番手からスタートしたビザ・キャッシュアップRBの角田裕毅(24)は7位に入り、8戦ぶりに入賞した。 久しぶりに勝ったフェルスタッペンが歓喜を爆発させた。表彰台では珍しく激しい表情で派手なガッツポーズを披露。「感情がジェットコースターのように上下した1日だった。こんなに後方のグリッドから勝てたなんて信じられないよ」と興奮を隠せなかった。 予選では赤旗が出たタイミングに泣き、まさかのQ2敗退。年間使用制限を超えるICE(内燃エンジン)交換による5グリッド降格ペナルティーが追い打ちをかけた。レース前は「ガレージを壊したい気分だったよ。勝てるとは思えなかった」と素直に漏らす。 苦しい状況を救ったのは、幼いころから地道に磨いてきた技術だった。「ゴーカートで雨に強い選手はF1でも強い。若いときにたくさん練習すれば、間違いなく雨に強くなれる。練習して慣れて確実にスキルを磨き、それを継続して進化して、さらにうまくなる。それが強みになるんだ」 スピンやコースオフが続出した難コンディションをものともせず、1周目に6台抜き。2番手まで浮上していた32周目に赤旗が出るタイミングにも恵まれる。再スタート直後に首位を奪い、そのままトップチェッカー。ファステストラップを17回も塗り替えていく圧巻の速さを見せ、レースを完全に支配した。 ここ4カ月はクルマの不調とライバルたちの台頭で、完全に勢いを失っていた。昨季22戦19勝の3連覇王者が、10戦も続けて勝利から遠ざかる大スランプをついに脱出。ターニングポイントとなった一戦を、「僕にとって間違いなく最高のレース。チャンピオンシップもかかっていたしね」と振り返った。 次戦にも自力で選手部門4連覇を決められる状況をつくり上げた。「残り3戦で、より競争力を発揮できると確信している。とにかくクリーンなレースがしたい」。劇的な勝利で自信と余裕を取り戻した王者が、再び圧倒的な強さを披露することになりそうだ。
中日スポーツ