高級時計、なぜ好調? ブライトリングCEO「スイートスポットは7200ドル」
1884年の創業以来、陸海空の領域に多彩な機械式クロノグラフの名品を送り出してきたブライトリングが創業140年を迎えた。新型コロナ感染拡大というパンデミックを乗り越え、グローバル市場での売上高は堅調を維持。日本では2021年~2024年の売上高は48%増の見込みという。 【写真はこちら】ナビタイマー、クロノマット…創業140周年記念の3モデルをチェック! 同社を力強くけん引する最高経営責任者(CEO)のジョージ・カーンさんは、成功の理由を「アイコンモデルを磨き上げ、買いやすい値段を維持してきた結果」と説く。7年前からは「クロノマット」「ナビタイマー」など主力モデルの改良に取り組み、近年は女性モデルの開発を積極的に進めるなど、現状に甘んじることなく革新のタクトを振るってきた。こうした「新生ブライトリング」のイメージをいかに深く、顧客層に浸透させられるかが今後の課題、とカーンさんは話す。
■時計市場、まだ成長続く
――グローバルで見ても事業全体は増収基調で、売り上げに占める女性用商品のシェアは15%程度まで高まりました。ただ、時計業界では中国市場の消費減速を懸念する声も聞こえてきます。カーンさんは市場の先行きをどう見ていますか。 「そうした悲観論には同調できません。時計ブームは1980年代から右肩上がりで続いており、私はこれから数十年間も間違いなく成長を続けると見ています」 「スイスや欧州では、為替の影響やインフレ、紛争などによって購買意欲が一時減退していたのも事実です。中国では2、3年前に消費が大きく落ち込みました。でも経済に波があるのは当然のことです。インド、インドネシア、マレーシアでは若い富裕層が増え、どんどん豊かになっています。飛行機に例えるなら、積んでいる5つのエンジンのうち1つが壊れたとしても、残りの4つで前に進んでいける事業モデルを描かなければなりません。外部環境のせいにしてはだめです」 ――ブライトリングにはベゼルの航空計算尺が特徴的な「ナビタイマー」、スポーティーな航空時計「クロノマット」など多くのアイコンモデルがあります。近年最も成長したモデルは? 「長くブランドをけん引してきたのは『ナビタイマー』ですが、急速に台頭してきたのが『クロノマット』で、今ではナンバー2のコレクションになり、女性用では最も売れています。同ブランドをはじめとして、今や売り上げ全体の15%を占めるようになった女性用の顧客層拡大も増収の推進力になっています」