能天気な「トランプラリー」は長続きしない、オルカン・S&P…「アメリカ一辺倒」の資産運用はいよいよ危ない
■ 「アメリカ一辺倒」の資産運用がリスクに これまでも繰り返して述べてきたことですが、資産運用の基本は「長期・積立・分散」です。短期的な相場の変動に慌ててはいけません。今回のトランプ勝利でも、焦らないことが大切です。 特に、大統領選後のトランプラリーで、そもそも最高値圏にあった米国の株式相場はさらに上昇して割高感が増しています。トランプラリーに乗り遅れまいと焦って米国株やS&P500の投資信託への投資を増やすような行動は慎むべきです。 むしろ、今年スタートした新NISAで投資を始めた資産運用初心者の方々には、今回の大統領選をきっかけに「長期・積立・分散」という原則に照らして、自身の投資スタイル、ポートフォリオを改めて考えてほしいと思います。 新NISAが始まってから今年前半は、日本株も米国株も右肩上がりで上昇してきました。しかし、7月末から8月初めにかけての日本株の大暴落、10月の衆院選での与党大敗、そして11月の米大統領選と、大きなイベントが立て続けに起きました。大暴落以降は何かきっかけがあるたびに株価は大きく変動し、ボラティリティーが高まっています。 この間、相場の変動に動揺して積み立てをやめてしまったり、資産を売却してしまったりした方もいらっしゃるでしょう。日経平均株価で見れば、4万2000円超という最高値はまだ回復していないものの、4万円近くまで戻しています。慌てて売ってはいけない、という「長期、積立」という原則の大切さを、身をもって理解できたのではないでしょうか。 そして、今回の大統領選では、「分散」についてぜひ考えていただきたいと思います。というのも、新NISAで大人気となっている投資信託は、「オルカン(オール・カントリー)」と「S&P500」です。S&P500は100%米国株で運用されおり、全世界に分散投資をしているオルカンも、実は米国株の組入比率は6割を超えています。 つまり、S&P500は言うまでもなく、オルカンも米国株に大きく偏っているのです。 グーグル(アルファベット)やアップル、マイクロソフトといった米国の巨大テック企業の時価総額が圧倒的に大きいために、そもそも世界の株式市場の時価総額に占める米国の割合は5割程度もあります。そのため、オルカンが米国に偏っているのは実態を反映しているとも言えます。とはいえ、「分散投資」という考え方からみれば、半分以上を米国株に投資している状況は、バランスを欠いているとも言えます。 特に、トランプ氏が大統領に返り咲き、米国の政治・経済の先行きに不透明感が高まっている状況では、ポートフォリオがアメリカ一辺倒、オルカン・S&P一辺倒になっているとしたら、リスクは高まっていると言わざるを得ません。