いびきで“睡眠離婚”や避難所ストレス…身近な社会問題にどう向き合うか?
仕事で運転中に眠りそうになって受診
実は、冒頭の加藤麻衣さんの夫は、今年1月に医療機関を受診し、睡眠時無呼吸症候群と診断された。夫が受診を決めた理由はいくつかある。仕事で車を運転中に眠りそうになったこと、加藤さんの父親が受診を強く勧めたことなどだ。1時間のうち30回以上呼吸が止まれば「重症」といわれるが、加藤さんの夫は検査で100回ほど呼吸が止まっていたという。
「びっくりですよね。もしかしたら寝ている間に夫はそのまま……ということがあったかもしれません。生きていてくれてありがとうという気持ちでした」 CPAPを装着した夜から目に見えて効果があった。 「夫は、あれほどひどかったいびきをかかなくなりました。週末も朝早く起きて子どもたちと遊んでくれるようになり、私も自宅で開いている習い事教室の時間を増やせるようになりました」 夫自身、「これまでの10分の1ぐらいの力で生活できるようになった」と喜んでいるという。加藤さんは「何より夫が健康に生活できるようになったことが、一番良かったです」としみじみ話す。 だが、いびき当事者にとってはまだ問題がある。睡眠時無呼吸症候群と診断されれば保険適用の対象になるが、そうでない場合は保険適用にならない。ただのいびきは、いびき当事者や周囲の人にとって睡眠の質に関わる問題ではありながら、医療の対象にはなっていないのだ。 いびきを軽くする方法はないのか。前出の井上理事長は次のような対策を勧める。 (1)太るといびきをかく傾向があるため、太ったら減量する (2)「鼻いびき」の場合は、耳鼻科を受診し鼻の治療をする (3)飲酒はのどの筋肉が緩み、いびきをかきやすくなるため、お酒は慎む (4)横向きに寝ると気道が開きやすいため、抱き枕などを使うのも方法の1つ
「今は自分のいびきを確認できるアプリもあります。ただアプリは他の音も拾い、実際より過大な結果が出る傾向があるため、正確とは言いがたいです」 いびきは家庭内だけの悩みではない。大勢の人が長期間、同じ場所で生活する災害時の避難所でも問題になった事例がある。