命令出ても団体存続? 教団財産は散逸? 「解散」だけで終わらない旧統一教会問題
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令請求が出される見通しとなった。被害者らから歓迎する声が上がっている。だが、解散命令が出されても、問題がただちに解決されるわけではない。教団の財産保全、被害者への返金、教団への献金や送金対策、新たな法整備など、そこからやるべき問題は山積みだという。具体的にはどういうことなのか。2世被害者、弁護士、ジャーナリストに話を聞いた。(文・写真:ジャーナリスト・森健/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
「2世」らを社会がどう受け入れてくれるか?=明希子さん(元2世信者、仮名)
「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散命令請求が出される見通しになったことは、心から歓迎しています。私はこの教団の『祝福2世』(両親ともに信者で、合同結婚式を経て生まれた2世)であり、自分自身、長く被害に遭ってきた当事者でもあります。私は10年ほど前に脱会しました」 「被害でわかりやすいのは巨額の献金です。2002年、祖父の死後、母はその遺産1億6000万円を教団に言われて献金していたのです。当時、私はまだ高校生で、まったくそうしたことは知らされず、知ったのは成人後のことでした。昨年、安倍晋三元首相の銃撃事件後、教団のさまざまな問題が明らかになるなかで、この遺産を取り返すよう、両親から教団に請求してもらいました。ところが、現役信者である両親は強く言うことができず、わずか3000万円の返金で合意し、サインしてしまったのです」
明希子さん(30代)は残念そうに言う。明希子さんがつらいのは、旧統一教会からの被害はお金だけではないからだ。両親は合同結婚式で結婚、1980年代に明希子さんは生まれた。熱心な信仰のもと、献金が日常的に行われ、給食費免除、洋服はお下がり、入浴は2日に1回、習い事はできないなど制限された生活を送ってきた。中学高校を含めた7年間は韓国・ソウルの教団が運営する学校に留学させられた。日本に戻ると、大学に入る前の18歳で合同結婚式に出席。大学卒業後、合同結婚式で出会った男性と結婚した。だが、結婚生活を送るなかで次第に教団や信仰に疑問を持ち始めた。 「彼は金銭感覚に欠け、借金も気にせず、仕事をやめ、自分の進みたい方向に進むような人でした。そのとき、なぜ教祖は合同結婚式で彼を私に選んだのだろうと疑問がわきました。祝福2世は神の血統であり、その血統の維持のため、あるいは、そうすると両親が喜ぶと思って、私は合同結婚式を選びました。ですが、そうして選ばれたという結婚はとても受け入れられるものではなかった。悩みに悩んだ末、離婚するとともに、それが信仰から離れるきっかけにもなりました」