アメリカで「ピックルボール」大流行に納得の理由、週末の公営テニスコートは愛好家がほとんど占拠、プロ選手がいて“メジャーリーグ”も存在
いったい何が彼女たちをそこまで夢中にさせるのか? 公営のコートでは貸し出し用の無料のパドルが置いてあり、初心者用と上級者用のコートに分かれていた。筆者も初心者用のコートで実際にプレーしてみることにした。 コート脇にはプレー待ちをしている数十人の人々がずらっと並んでおり、その列の最後尾に並ぶと、同じようにひとりで参加している人が話しかけてくれ、パートナーが探せる仕組みだった。 ■何時間でも続けてプレーできる
テニスのようにあらかじめ自分のパートナーを用意していなくても、ふらっとひとり参加できるわけで、これは便利だ。基本的にサーブやリターンはテニスと同じなので、テニス経験者であればコートに入った瞬間からすぐに楽しめる。 テニスの感覚でコートの一番端まで走ってボールを拾うと「うまい!」とパートナーから感謝されるおまけつきだ。コートがテニスより狭い分、走り回って体力を消耗することがなく、何時間でも続けてプレーできる。
ただし、得点の数え方が複雑なので、その点だけはちょっと難しい。ただ、パートナーや経験者が数え方を教えてくれるのでとくに問題はない。 さまざまなレベルの人々が複数のコートで同時にプレーしているため、自分と同じぐらいのレベルの人がいるコートを見つけやすい。 目当てのコートのネット脇に自分のパドルを置けば「私はこのコートで次にプレーしたいので、待っています」という暗黙の意思表示になる。 ひとりがパドルを置くと、その隣にはすぐに誰かがパドルを置き、即席でダブルスが組める。10代の人とも70代の人ともダブルスを組んでプレーしてみたが、どんな年代の誰と組んでもゲームが楽しめることに驚いた。
ダブルスを組んだ70代の女性は、ほぼ毎日プレーしているとのことで、ネット際の球の処理がうまく、後方の球を筆者が走って取れば、あとは彼女がネット際で粘り強く決めてくれる、という感じで頼もしかった。 プレー待ちをしている間に見知らぬ人からルールを教えてもらえるだけでなく、パドルはどこで買えばいいのかの情報ももらえ、デジタルのクーポン券までわけてもらえた。 初心者が多いせいか、経験者たちが快く歓迎してくれる雰囲気なのだ。ほかのスポーツと比べても、ほとんど信じられないほどのフレンドリーさだ。なるほど、これがピックルボールの魅力か、と納得できた。