92位に転落!代官山が”住みたい街”ではなくなった理由…空きが目立つテナントには100均も!不必要なオシャレさなのに地価高騰
代官山が寂れてしまった最大の要因は、東横線の地下化および東京メトロ副都心線への乗り入れ
さて昭和・平成と隆盛を誇ってきた代官山に何が起きたのか考えてみることにします。5つほどの原因がありそうです。 まず代官山の様相を変えるきっかけになったのは、やはり先述した東横線の地下化および東京メトロ副都心線への乗り入れでしょう。渋谷が単なる通過駅になってしまった結果、渋谷の一歩手前の小洒落た街だった代官山が忘れられがちになったのではないでしょうか。ただでさえ各駅停車しか止まらない駅です。そして駅自体が渋谷に向かって下るトンネルの入り口付近にあって目立たない半地下駅になったのも存在感を希薄化させました。人の流れというものは恐ろしいものです。代官山駅は通過駅となった渋谷駅のさらなる通過駅という、誰も気が付かない駅に変質してしまったのです。 2つ目の理由は路線乗り入れによる客層の変化です。それはTSUTAYAに入るとよくわかります。客層を観察すると代官山通りや八幡通りのセレクトショップにやってきてちょっと背伸びをしたいようなお姉さんたちではありません。観光客や物見遊山的な客も目立ちます。
地価や建築費の値上がりも大きい…坪当たり505万円から950万円となんと2倍近くも値上がり
3つ目の理由が、ライフスタイルの変化です。最近の若い人たちが代官山でお洒落して少し高い服を買うという消費行動そのものが消滅しつつあります。ほとんどの日はユニクロで構わないし、ファストファッションで決して恥ずかしいとも思いません。家具はかつて流行ったコンランショップの家具でなくても、ニトリで十分。フランフランで拘りのキッチン雑貨をそろえなくてもよいです。むしろ「ららぽーと」があればよいのに、と多くの若い人たちは思います。豊洲のタワマンに住んで週末はららぽーとでお買い物、こちらのほうが合理的で現代の生活にフィットしているのです。 4つ目の理由が渋谷の変貌です。渋谷は商業の街として栄えてきましたが、今や駅前には超高層オフィスが林立するオフィス街になりました。百貨店が立ち並ぶお買い物の街だった渋谷の一つ手前の代官山。ちょっとよい買い物をしたいのならばそのまま副都心線に乗って新宿三丁目の伊勢丹本店へ。渋谷にはないようなお店を探しに来るはずの街だった代官山のキャラクターを変えてしまったのかもしれません。 そして最後に指摘したいのが、地価や建築費の値上がりです。代官山駅前の公示地価を東横線が地下化された2013年と現在を比べてみると、坪当たり505万円から950万円となんと2倍近くも値上がりしています。建設費はやはり3割から4割は上がっています。土地を取得して建物を建設してテナントに貸そうにも高い賃料にしなければ満足のいく投資利回りは得られないということになります。アパレル系のセレクトショップでは高くなった賃料負担に耐えられない世の中になったのです。地価上昇はテナントの顔を必然的に変えてしまいます。