成立した「スーパーシティ法」とは? 討論で見る論点「個人情報」「規制緩和」「監視社会」
複数の規制改革を一体的に進め地域課題の解決図る
●柳ヶ瀬裕文議員(日本維新の会)=賛成討論 新型コロナウイルスのパンデミックの後にどんな社会が訪れるのか。決してパンデミック前の社会に戻るわけではない。生存の危機を経験し、人々の価値観が大きく変わり、これまでに見たことのない新しい社会がつくられる。 日本はこの変化に対応できるのか。我が国に求められているのは、大胆な規制改革をスピード感を持って行うことだ。その上で、国家戦略特区制度は重要な役割を担っている。今回の法改正はこの規制改革を促進する。 国家戦略特区制度は、自治体や事業者が創意工夫を生かした取り組みを行う上で、障害となっている岩盤規制について、規制の特例措置の整備や関連諸制度の改革を総合的かつ集中的に実施するもの。今回の法改正では、国家戦略特区制度を進化させ、キャッシュレス化、行政手続きワンスオンリー化、遠隔医療、自動走行など、複数の規制改革を同時、一体、包括的に進めることで地域課題の解決を図る、スーパーシティ構想の実現に向けた制度整備を行おうとするもの。 改革の起爆剤として期待し、賛成するが以下、懸念される点について述べる。 スーパーシティにおける区域の選定が、透明かつ公正なプロセスを踏まなければならないことは当然だが、区域会議に参加する事業者の選定についての外形的公正性をどう担保するかは重要。IRでは大阪方式と呼ばれる非常に厳しい事業者との接触ルールが設けられている。特区とIRではエリアの選定と事業者の公募選定の順番が異なるが、前向きに厳しいルールを設定し、透明性、公平性、公正性を確保すべき。 政府には個人情報保護関係条例に基づき、国際的な動向も踏まえた厳密で適切な 個人情報の取り扱いを求める。 ビッグデータの活用が進む現代では、イノベーションを促進する観点から、個人情報を保護しつつ適正に活用することが重要。スーパーシティ構想においては、こうした個人情報の保護と活用に十分に配慮し、地域課題の解決に、抜本的に取り組んでもらいたい。