「アベノマスク」なぜユースビオと随意契約? 立憲・大串氏が追及
立憲民主党の大串博志衆院議員は28日の衆院予算委員会で、政府が配布を開始している布マスクの受注業者の選定過程などをただした。受注業者のうち4社目の業者が他社に比べて規模が小さく、定款が4月に変更されていたことなどを踏まえ、「どういう経緯で随意契約を頼むことになったのか」「何らか人的関係があったのではないか」と政府を追及した。 【国会中継】「アベノマスク」受注会社や「家賃」支援などただす
輸出入担当でさらに「もう1社」登場
政府による布マスクの全世帯配布は、安倍晋三首相が4月1日に方針を示したもので、事業費は約466億円。受注業者としては、伊藤忠商事(東京都港区)、興和(名古屋市)、マツオカコーポレーション(広島県福山市)の3社が公表されていたが、残りの1社を政府は明らかにしていなかった。27日になって菅義偉(よしひで)官房長官が福島市にある「ユースビオ」であると公表した。 布マスクをめぐっては、一部に汚れなどの不良品があることが発覚し、伊藤忠商事と興和が未配布分の回収を発表する事態になっている。 大串氏は事務所に届いたという政府の布マスクをつけて質問に立った。「3社はどれも極めて規模の大きな会社。ユースビオは随意契約で発注を受けた。どういう会社か」。加藤勝信厚生労働相は「福島市が本社で、輸出入業務を行っている」と答えた。さらに3月16日に緊急で随意契約を結んだとした。 法人登記を確認したという大串氏によると、同社の定款には、再生可能エネルギー生産システムの研究開発と販売、バイオガス発酵システムの研究開発と販売、オリゴ糖の糖質の生産加工と販売などの事業が記されていた。大串氏は「マスクをつくる、輸出入するとは定款に一切ないが、4月に入って定款変更の届け出をしている」と指摘。不動産の売買や賃貸管理、貿易・輸出入代行業などが追加されたとした。 加藤厚労相は、契約金額は約5.2億円で「輸出入についてはもう一つの会社が担っている」と明かした。 これまで4社とされていたところに新しい会社が登場し、大串氏は驚きを隠せなかった。「初めて聞いた。なんという会社か」。加藤厚労相は「『シマトレーディング』という会社で、ユースビオはマスクの布の調達、納品時期等の調整。シマトレーディングは生産輸出入の担当をしていた」と説明した。