NTTとNTTドコモが共同会見(全文3完)新たなゲームチェンジ起こしたい
背中を一番大きく押した材料は
ケータイWatch:ありがとうございます。ちなみに背景のご説明はいろいろあったんですが、今、このタイミングでならいけると思われた、背中を一番大きく押した材料をあえて1つ挙げるとしたらなんでしょうか。 澤田:それは市場の、すいません、2人からいきます。私から、澤田からいきますと、市場の環境の中でドコモがもう3番手になり、ごめんなさいね、何回も。GAFAなり海外の強い会社が出てきてるっていう市場に対する危機感、これが一番になります。 吉澤:それと、それも当然あるんですけども、私ども先ほどのプレゼンの中でもお話ししたように、やはり5G自体っていうのはただ単に5Gの、いわゆるモバイルネット枠を提供すればいいということではない、お客さんのニーズっていうのはそうじゃないんですよね。5Gを使った、当然ソリューション、例えばプラットフォームだとかも全て含んだ上で、やっぱり何ができるかという、そういうニーズがあって、言ってみれば非常に高度化、複雑化している。さらにはそういったものをデータ分析して、実際にデータ活用するというような、そういう意味でいうと、ネットワークとしてもモバイル、確かに使えますけれども、それに対する期待だとか、そのモバイルが支える領域が、確かにこれ広がってきているんですね。 そういった中でまたさらにリモート型の社会、これはもう本当にそちらに大きく変わろうとしている。今ここでやらないと、やっぱり次っていうことになるとなかなかそういった環境にまったく対応できないというようなことで、やっぱりタイミング的にもこの時機だということで、背中を押したというか、そういうことですね。 ケータイWatch:ありがとうございます。
どういう時代認識の変化があったのか
司会:よろしいでしょうか。それでは次のご質問をお受けしたいと思います。お待たせいたしました。日経新聞の工藤さま、よろしくお願いいたします。 日本経済新聞:日経新聞の工藤です。聞こえますでしょうか。 澤田:はい。大丈夫です。 日本経済新聞:よろしくお願いいたします。ちょっと歴史を踏まえた認識をお伺いしたいんですけども、NTTグループとして分離、分割の歴史が一定期間あったと思うのですが、今回のドコモさんの完全子会社化、また国際事業の再編とグループの集約への転換が早まっているように見えます。この、例えば30年ぐらいのスパンで見たときに、どういう時代認識の変化があって、今回の意思決定に至ったのかをお伺いできればと思います。 これに関連して、今後の将来の5G、6Gの海外展開、こちらIOWNも含めて、今回のドコモさんの完全子会社化がないとできなかったことはなんだったのでしょうか。何ができるようになるかっていうところをお伺いできればと思います。よろしくお願いします。 澤田:ありがとうございます。時代認識っていう電気通信業界、情報通信業界だけでなく、その30年、40年のレンジで見ていただくと、世界も日本も大きく変わっていると思うんですね。世界でいってもやはり、なんて言いましょうか、グローバリズムを広げていった時代から、完全に数年前からローカリズムが出てくるような時代に変わっていっている中で、日本もバブルを経験し、そこから失われた20年といわれて、私どもの株式価値っていいますか企業価値も、当時は日本の企業が私どもを含めて世界でも十指に入るような、その状況が大きく変わっているわけですね。 GDPも中国やアメリカは2倍、3倍のレンジで伸びておりますが、日本はほとんど伸びがない。そういうような背景の下で電気通信を見てみますと、固定が中心だったわけですね。そこに移動というものが出てきたと。そういう構造の中で、移動を育てていくためにも固定からの内部相互扶助とか、いわゆる補てんをするなとか、一体的にやって助けるなよと。さっきご質問にもありましたけど、固定から移動を助けるなよと、そういう議論があったわけです。でも皆さん、今インターネットが出て、携帯が1億8000万台ある中で、メインは移動ですよ。それだけ大きな変化がきているわけです。 一方、固定のときに強かったメーカー、先般NECに私どもメーカー、あるいはコーディネーターとして出資を、共同研究を進めることを発表させていただいておりますけれど、メーカーが非常に、世界でも売れるようなものを持っていた30年前、40年前から、今やもうほとんどアメリカ製品、あるいはそこに対抗する中国製品、ソフトウエアもご存じのようにほとんどアメリカ製品。そういうような産業構造になっているという認識なんですね。