日本の小4・中2の理数学力 世界トップ級維持も理科は得点低下、小4は6位に 国際調査
小学4年と中学2年を対象に2023年に実施された「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」の結果が4日、公表された。日本は理科の平均得点が小中ともに前回より低下し、小4の順位が6位(前回4位)に落ちた。中2は前回と同じ3位。数学・算数はともに5位以内に入り、日本の理数学力はトップレベルを維持している。 調査は、小4が58カ国・地域から約36万人、中2が44カ国・地域から約30万人が参加。日本からは小中のそれぞれ約3900人が参加した。 小4は、算数の平均得点が591点(前回比2点減)で5位(同5位)、理科が555点(同7点減)で6位だった。 中2は、数学の平均得点が過去最高の595点(同1点増)で4位(前回4位)、理科が557点(同13点減)で3位(同3位)となった。 理科は小中ともに平均点が下がっており、文科省は「日本の子供になじみのない問題が一定数あった」と分析している。 得点分布をみると、授業時間などが増えた「脱ゆとり教育」に転換した平成20年以降、高得点層が増えている。 前回からパソコン端末を活用して出題・解答する方式が導入され、日本は今回初めて利用。不慣れさの点数に与えた影響について、文科省の担当者は「小さいと考えられる」と説明した。 意識調査で勉強が「楽しい」と答えた割合は、小4、中2の算数・数学(70%、60%)と中2の理科(70%)は国際平均より低く、小4の理科(90%)だけ高かった。 成績上位の多くがアジア勢で、前回同様に小中全教科でシンガポールがトップとなった。 ◇ 国際数学・理科教育動向調査(TIMSS=ティムズ) 国際教育到達度評価学会(本部・オランダ、ドイツ)が1964年から行っている算数・数学、理科の到達度を測る国際調査。95年以降は4年ごとに実施。知識の活用力をみる経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)に対し、基礎知識の習熟度が調査対象となる。