4時間かけて会社に行く「スーパー通勤者」が語る、午前4時に起きる価値がある理由(海外)
グレース・チャンは時折、仕事のためにワシントンD.C.からニューヨーク市に通勤している。 その仕事との相性がとてもいいことから、通勤には4時間もかかるが、それだけの価値があると彼女は考えている。 リモートワークの導入により、「スーパー通勤者」になるアメリカ人が増えている。 グレース・チャン(Grace Chang)は、時折4時間かけて通勤しており、それには価値があると考える一方で、長期的には持続可能ではないと話している。 2024年初頭、28歳のチャンはワシントンD.C.にあるホスピタリティ企業で財務職として働くことに疲れていた。新しい仕事を探し始めたが、自身の成長につながり、かつ負担の少ない職種をD.C.圏内で見つけるのに苦労していた。 職探しをD.C.圏外にまで広げた結果、チャンは財務計画および分析の仕事を見つけ、5月からその職場で働き始めた。年収は10万ドル(約1560万円)を超えるが、デメリットもあった。それは、2週間に1度ほどワシントンD.C.からニューヨーク市まで通勤する必要があることだった(チャンは、プライバシー保護のため会社の名前を明かさないことを希望した)。 出勤する日には、チャンは午前4時頃に起床し、その1時間後にはユニオン駅でアムトラックの列車に乗る。午前8時30分頃にニューヨーク市に到着し、そこから30分ほどでマンハッタン中心部のオフィスに到着する。ニューヨークには2、3日滞在することが多いが、会社から宿泊費が支給されないため、市内または近郊に住む友人や家族の家に泊めてもらっている。 「この仕事が通勤に見合うものだと100%言い切れるわけではないが、生活費を稼げる上に、将来的なキャリアアップにつながる良いステップになると思う」と彼女は語った。 チャンは、最近増加している「スーパー通勤者(Supercommuter)」の1人だ。これは、通勤距離が片道120キロを超える人のことを言う。6月に発表された研究で、そのように定義されている。スタンフォード大学の、ニック・ブルーム(Nick Bloom)とソフトウェア会社INRIXのデータサイエンティスト、アレックス・フィナン(Alex Finan)が実施したこの研究によると、2023年11月から2024年2月にかけて、アメリカの主要10都市における長距離通勤者の割合は、4年前の同時期に比べて32%増加した。 これは、リモートワークの増加と関連しているようだとブルームらは考えている。つまり、新型コロナのパンデミック期間中に住居費を抑えるため都市部を離れた多くのアメリカ人が、雇用主から出社を求められるようになっても、通勤に耐えられると判断したことが一因だと考えられる。