外国籍を欠く緊急事態を救った名古屋Dの張本天傑「トーンセットが必要だったのでディフェンスにフォーカスして臨んだ」
「カロイアロを自由にプレーさせないため、時間をかけて研究した」
デニスヘッドコーチや張本が話すように、序盤のフルコートディフェンスが勝利の鍵を握っていた。試合の入りの重要性をバイウィーク中に再確認してきたと張本は続ける。 「ここまで思ったように勝てていなかったので、自分たちのやるべきことを見つめ直しました。負ける時は出だしが悪く、そこからズルズルといってしまうことが多く、結果的に自分たちらしいバスケットができなかったです。昨日も前半は自分たちらしいバスケットができましたが、後半はゾーンに飲まれてしまった感じがありました。その反省を生かして今日は後半も前から当たっていこうと話しました」 前日の第1戦は前半に13点のリードを奪ったが、後半だけで11本のターンオーバーを犯し、追い上げを許した。この日は試合を通じてターンオーバーを7本に抑えることができた。この要因もオフェンスだけではなく、ディフェンスにあると張本は言う。「攻めるディフェンスができた結果、オフェンスも良くなりました。ディフェンスの時も攻めるメンタルを持つことが重要だと思います」 オールコートでは選手が連動して守り、ハーフコートではゾーンを敷くことも多い名古屋Dにとってチームディフェンスは勝敗を左右する鍵となる。ただし、チームディフェンスは個々のディフェンス強度の上で成り立つものだ。そしてマンツーマンのシチュエーションにおいても張本は存在感を示した。外国籍選手とマッチアップした際に日本人選手は簡単にやられてしまったり、ファウルをしてしまう場面は多く見られるが、張本は簡単にやられることはなかった。 リーグの中でもトップクラスのスコアラーであるカロイアロとマッチアップする時間が多かったが、1on1のシチュエーションでタフショットを打たせるなど、見事なディフェンスを見せた。十分な準備をしてマッチアップしたと張本は明かす。「時間をかけて彼を研究しました。彼にやられないことが、自分の仕事だと思っていたので、簡単にプレーさせないという気持ちで試合に臨みました」 12月は水曜ゲームや天皇杯もあり、怒涛のスケジュールとなる。名古屋Dも天皇杯を勝ち進んでいるため、中2日でアルバルク東京との試合が待っている。「天皇杯はいつもここで(3次ラウンド)敗退してしまうパターンが多いです。A東京さんとは相性は良いので、ディフェンスをしっかりやって速い展開に持ち込めれば、自分たちのペースになります」と張本は展望を語る。 過密日程だからこそ、主力選手だけでなくベンチ全体の力が試されるだろう。名古屋Dにとって張本のような自分の仕事を遂行してくれる選手がいることは大きい。想定外に戦績が伴わない序盤戦となったが、ここからの巻き返しに大きな期待が寄せられる。
ズッボン