「ジャングリア」に沸く沖縄県名護市は移住先としても人気! 子どもの保育料や医療費の無償化など理由を調査。移住者に暮らし心地などのインタビューも
仕事探しについては「自分で(事業を)やったほうがいいと思いますね。名護は人口6万人の小さな街です。雇われるなら、生きてはいけるけど、やりたい仕事で雇ってもらうチョイスは必ずしも多くはないと思ったほうがいいでしょう」
名護市立の小中一貫校でたくましさを養う
同じく、大阪から名護市に移住し、13歳の長男、9歳の次男、4歳の三男と暮らす新井章仁さんは、子どもたちを名護市立の屋我地ひるぎ学園に通わせています。
小規模特認校である同校は、公立には珍しい小中一貫教育が特徴。地域住民を講師に招き、地元の自然について学ぶ「干潟の生き物観察」や「みつばち教室」「マングローブ林体験」など、ここでしか経験できない授業も充実しています。
市内の全域から通うことができますが、「体感では、生徒の半数近くが移住者ではないでしょうか。教育意識が高い親御さんも多いですね」(新井さん) 自身も名護を拠点に劇団を主宰しながら、「やんばるナゴラブ」で映像制作ディレクターを務めます。 「まわりのお父さんたちも、自分の力で生きている人たちが多いです。自分がなにを生業として生きていくかの選択肢が身近にあるので、いい大学に行って、いい就職をするばかりが正解ではない、ということが子どもたちも自然に理解できる環境だと思います。もちろん勉強も大事ですが、生きるたくましさをここで身に着けてほしいと思っています」
移住後1年、農業で独立。アップルバナナ栽培に飛び込む
名護市は沖縄県内でも農業生産高が高く、多くの農作物が栽培されています。移住して農業、しかも未経験から――。想像するとハードルが高いように感じますが、移住後に農業で独立を果たした男性がいます。アップルバナナを中心に、パイナップルやスイートコーン、スナップエンドウなどの栽培に取り組む荘司幸一郎さんです。アップルバナナは、ハワイ産の小ぶりなバナナで、皮をむいた時のりんごのようなさわやかな香りが特徴です。
サトウキビの産地である沖縄県ですが、高齢化に伴い、耕作放棄地の増加が問題になっています。どうやって農地や、農業を守っていくかは名護市の社会課題。 荘司さんは、新しく農業を営む人に向けた新規畑人資金支援事業(就農準備資金)という制度を活用しました。県知事が認めた研修機関等で研修を受けた人を対象に、最長2年間で年間150万円を支援する制度です。 「農業は決して甘い世界ではありません。10人が就農して、10年後に残っているのは2人と言われている世界です。初期費用にも500万円から1000万円は必要です。農業というと、なぜか安易な気持ちで始める人も多いのです。『大自然の中で暮らせる』というのびのびとしたイメージがあるからでしょうか。経営はおろそかにしないほうが良いと思いますね」 もっとも、名護市では兼業農家も多いそうです。平日は飲食店やホテルなど、都市部で働き、週末や1週間のうち数日は農業を手掛ける。そういった多様な生き方をしている人も多いそうです。。 就農して8年目になる荘司さん。はじめに入手したアップルバナナの苗は50本でしたが、現在は約2000本に増えました。年商も1200万円ほどまで増えましたが、農業機械のリース代など、経費を差し引くと利益は200~300万円だといいます。
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