2024年開幕のハンドボール「次世代型プロリーグ構想」は成功するのか?
ハンドボールが新しいプロリーグ構想を立ち上げたことをご存じだろうか。昨年末に日本ハンドボールリーグ(JHL)が記者会見を開き、2024年2月開幕を目指すプロリーグ構想が発表された。現在、JHLには全国の男女21チームが所属しているが、この3月に参入を募り新リーグが定めた8つの参加基準をクリアしたチームで構成されることになる。ユニークなのは、日本のプロスポーツで初導入となるすべての収益活動をリーグが一括で担う「シングルエンティティ」と、選手の仕事との兼業を推奨する「デュアルキャリア」を採用するビジネススタイルにある。Bリーグの事務局長を務めた旗振り役の“キーマン”葦原一正代表理事(44)に話を聞いた。
リーグが経営を一括管理
「次世代型プロリーグ」と宣言した。 日本のスポーツビジネスは、“ガラパゴス型”のNPBからクラブの独立法人化を基本に地域密着と百年構想を掲げてプロ化したサッカーのJリーグ、そして、そのJリーグの思想とビジネス手法を進化させたバスケットのBリーグの成功と進んできたが、2年後の2月開幕を目指してプロ化を仕掛けるハンドボール界は、これまでになかった画期的なビジネススタイルに挑む。リーグに所属する各チームのすべての収益をリーグが一括管理して運営する「シングルエンティティ」という経営手法を採用するのだ。 「時代とともにトレンドも課題も変わります。3年はきっちりとリーグ主導でやったほうが今のハンドボールにはいいと判断しました。経営効率化、収益最大化を狙うスキームです」 こう説明する葦原氏は、外資系のコンサルからプロ野球のオリックス、横浜DeNAを経てBリーグの元事務局長のキャリアを持つスペシャリスト。日本ハンドボール協会の傘下にあったJHLという組織を法人化して改革するため、第三者委員会が立ち上げられ“ガラス張りの人選”で白羽の矢が立てられ、昨年4月に代表理事に就任した。 プロスポーツビジネスは、チケッティング、スポンサー、放映権、グッズなどのマーチャンダイズの4本柱で成り立っているが、そのすべてをリーグで一括管理しようというのである。この手法は米国の後発プロスポーツであるMLSやWNBAなどで採用されている。 Bリーグでの成功体験のある葦原氏が、そのBリーグ型を採用しなかったのは、男女21チームあるすべてのJHLチームとのヒアリングの結果が影響している。 「自分達でビジネスを回しているチームがほとんどなく、運営法人を作ることへ不安、イメージのできていないチームが多かった」 東京五輪の最中に行われたJHLの代表者を集めた会議で、葦原氏が単刀直入にアンサーを求めたところ「リーグに任せたい」の声が大多数だった。