投開票日迫る裏金総選挙…メディアの「出口調査」に答える必要はあるのか、ないのか?
長期間に渡って組織的かつ常習的に裏金作りを続けてきた自民党に有権者は果たして鉄槌を下すのか。 【写真】安倍新内閣はまるで“カルト内閣”…旧統一教会がらみ12人、日本会議系も12人 「裏金による、裏金のための、裏金政治」--。こんな造語までささやかれている今回の衆院選。 注目はやはり、裏金候補の当落だが、近年の選挙で強く指摘され始めているのがTVメディアなどによる「ゼロ打ち」の是非だ。 「ゼロ打ち」とは、報道機関が各選挙区の情勢調査などを踏まえ、まだ開票が始まっていない投票の終了時刻直後の午後8時に当選確実を速報することだ。開票率が「ゼロ%」の段階で当選確実を報じることから「ゼロ打ち」と呼ばれるのだが、当落判断を左右する最大の決め手は「出口調査」だろう。 投票所の外で待機した記者やアルバイトが、投票を終えたばかりの人に投票した候補者や政党を直接聞いて集計する手法。アンケートする相手は適当ではなく、事前に性別、年齢、地域、サンプル数などを綿密に計画するのが一般的だ。 かつては紙に書いた集計結果を一つ一つ手作業でパソコンに入力する必要があったが、近年は投票した人に通信機能を備えたタッチパネルを渡して入力してもらうスタイルへと変わり、リアルタイムで集計が可能になった。 投票行動が迅速に分かるとはいうものの、公職選挙法の52条(投票の秘密保持)はこう規定している。 「何人も、選挙人の投票した被選挙人の氏名又は政党その他の政治団体の名称若しくは略称を陳述する義務はない」 つまり、条文に沿えば投票を終えた人が報道機関の「出口調査」に答える「義務」はないわけで、この「出口調査」の是非について問われた1998年8月の質問主意書でも政府はこう答弁していた。 「投票の秘密に関しては、公職選挙法第52条において、何人も投票した被選挙人の氏名等を陳述する義務はないとされているが、選挙人が任意に自らの投票内容について言及することは制限されていない。」 「いわゆる『出口調査』は報道機関が選挙報道のための取材活動の一環として行っているものといえるが、公職選挙法においてこれを禁止する規定は存在しない。」 「任意であれば問題なし」「公選法に禁止規定なし」として何となくスルーしているわけだが、大手紙の政治部記者はこう言う。 「新聞は翌日の朝刊の締め切りまでに選挙結果を多く載せたい。TVは最初に当確を報じてインタビューを仕切りたい。それぞれ会社の思惑で出口調査をやっているわけです。このため、現場記者は疲弊している。ならばデジタル投票にすればいいでしょう。コソコソと誰に投票したのかを聞く必要もなく、投票締め切り時刻と同時に誰でも結果が分かる。マイナ保険証よりも、先に進めるデジタル化だと思いますね」 河野太郎・前デジタル担当相(61)もここに切り込んでほしかった?