”打倒大迫”を果たせなかったびわ湖マラソンの日本人トップが「パリ五輪狙う」一般参加の作田直也だったという衝撃
「先頭集団についていき優勝を狙う。日本記録を1秒でも縮めたい。積極的なレースをして大会を盛り上げたい」と宣言していたMGC7位の鈴木健吾(24、富士通)だけが、アフリカ勢を追いかけたが、ついていくことができず、33キロ過ぎで作田が、その鈴木を捉えて前に出た。 「一番は2時間10分を切るタイムを守れる走りがしたい、ということでした。あせらず自分のペースでいこうと。その結果、ああなった。自分がペースを上げたのではなく、鈴木君が、ちょっと遅れてきたのです」 そこからは第二集団を引き離しての独り旅である。 JR東日本が4位に入った元旦のニューイヤー駅伝では4区を走り(区間5位)、その後、1月下旬から2月上旬に鹿児島・徳之島で合宿を張った。駅伝後に足に異常を感じたが、徳之島では、40キロ走、5キロ走×3本のメニューを消化し「2時間10分は切れる自信をつかんだ」という。 「継続した練習ができていた。ひとつひとつの練習のなかで何をつかむかを考えながらやっていました。練習としては、周りの選手よりは劣っていると思う。その中で最大限得られるものを探して練習していたので自信につながった」 昨年の7月から準備して“秘密兵器”ナイキの厚底シューズも初めて試した。前のめりにさえ見える前傾フォームは、角度のある厚底シューズに適したスタイルである。 「フォームは、元からああいう感じで意識はないのですが、(厚底を使うことで)勝手にかわっていっているかもしれません」 昨年4月の長野マラソンで出した2時間11分21秒の自己ベストを大幅に更新した裏には、しっかりとした根拠があったのである。 小学校6年の時、陸上大会に幅跳びで出場し「周りの選手より遠くに跳べたことが素直に嬉しく楽しかった」と陸上を始めた。中学3年時に駅伝要員に駆り出され、小さい大会だったが3キロを走って区間賞を獲得した。そこで「長距離も楽しいなと気づいた。幅跳びよりやってみたことのない方にいった方が伸び幅がある」と、千葉県立長生高校から長距離を始めた。