大盛況だった Twitch の大物クリエイター、カイ・セナト氏のライブストリーミングイベント。ただTwitchにとっては諸刃の剣かもしれない
今後の展開は?
ブランドセーフティ問題の影がちらついてはいるものの、セナト氏の現在の評価は史上最高値にある。キック(Kick)などのライバルプラットフォーム数社は数百万ドル規模の契約をセナト氏に申し出て、乗り換えを促しているが、そうした申し出を同氏はすでに断っている。 しかし、ライブ配信の枠をこえて、より広い意味でのカルチャーへの進出を同氏が目指すようになるのはもはや時間の問題だろう。その兆しはすでにある。11月にセナト氏の配信にゲスト出演したケビン・ハート氏は、両者が映画やテレビで共演する計画が進行中であると発表したのだ。 セナト氏の人気拡大。そして、現実味を増してきたTwitchからほかのプラットフォームやエンタメチャネルへの同氏の飛躍。これらが示すのは、Twitchに潜在する弱点のひとつだ。Twitchは文化的妥当性への足掛かりを得るのに大いに役立つ。しかし、ひとたびそこにクリエイターのプレゼンスが確立されてしまえば、そのクリエイターがオーディエンスと広告主を引き連れてよそへ行くのを止めることはできない。 Gフューエル(G Fuel)やエンスージアスト・ゲーミング(Enthusiast Gaming)といった企業のクリエイター部門を率いた経験を持つeスポーツ界の重鎮、スコティ・ティドウェル氏は、「カイが今後も上を目指すのなら、自身の視野を戦略的に広げて、Twitchの先にも目を向けていかなければならない」と語る。「彼ほどのクリエイターなら、次のステップは当然、メインストリームメディアに活躍の場を広げることだろう。テレビや映画の世界でチャンスを追い求めることもそのひとつだ。彼のエネルギッシュな人柄や笑いのタイミングなら、幅広い層の心をつかむ役柄にぴったりだろう」。 [原文:Why Kai Cenat’s record-breaking subathon was a double-edged sword for Twitch] Alexander Lee(翻訳:ガリレオ、編集:島田涼平)
編集部