何が変わる? 「次期Suica」大刷新の中身 タッチいらずのウォークスルー改札はどう実現するのか
既報の通り、東日本旅客鉄道(JR東日本)は12月10日に「次期Suica」に関する展開計画を発表した。 【画像はこちら】次期Suicaでできること(全8枚) “タッチなし”で改札を通過可能な「ウォークスルー改札」や、各種処理のセンターサーバ化による「位置情報乗降システム」「サブスクリプション」「Suicaエリア統合」などの新サービスを実現しつつ、2028年度にはこれらサービスをスマートフォン上から利用可能な新しい「Suicaアプリ」の提供を計画しているという。 今回、同計画についてJR東日本に問い合わせて細かい事情が確認できたので、現時点でどういった変化が起きるのかの情報をまとめておく。
JRが導入する新しいQR決済は「Suicaとは別物」
現状のSuicaはチャージの上限金額が「2万円」であり、基本的にこの金額内に収まる小額決済での利用にとどまる。JR東日本によれば、26年秋ごろにモバイルSuicaアプリを大幅リニューアルし、この上限金額を超える買い物に利用可能な「コード決済機能」や「友達や家族同士で残高(バリュー)を送受信可能な送金機能」が付与されるという。 さらに確認したところ、リニューアル後に既存のSuicaの「上限2万円」という仕組みは変わらず、あくまでモバイルSuicaアプリに「コード決済」機能が付与されるだけという回答だった。 コード決済は、CPM(ユーザーのスマートフォンに映し出されたコードを店舗が読み取る方式)とMPM(店舗に掲示されているQRコードをユーザーが読み込む方式)の2つの方式をサポートするとのことで、PayPayのような仕組みで「JR東日本がSuicaブランドで提供する」決済サービスが新たに登場すると考えればいいだろう。 もう一つ、現状のSuicaは事前にカード内に残高をチャージしておき、買い物はこの残高を利用する「プリペイド」方式を採用しているが、リニューアル後のモバイルSuicaについては新たに「ポストペイ」の仕組みが導入される。つまり後払いの仕組みであり、例えばクレジットカードや銀行口座の情報をひも付けておくと、あとでまとめて請求されたり、利用分の一括精算が行えるようになる。 基本的にはコード決済側に用意される仕組みとみられるが、「ポストペイ導入については決まっているが詳細は未定」(JR東日本広報)としている。また後述するが、センターサーバ処理を採用することで将来的にSuica残高は全てセンターサーバ側で集中管理される形に移行するとみられるが、Suicaカードそのものにポストペイ機能が付与されるかは「詳細が決まっていないため回答できない」(同)という。 実際、現状のFeliCaを使った“タッチ”でのSuica決済を「上限2万円以上」「ポストペイにも対応」とすると、Suica加盟店を含む既存のシステムにかなり手を入れなければいけないとみられ、JR東日本としてもそこまでSuicaの仕組み自身に変更を加えるか微妙なところだ。