大盛況だった Twitch の大物クリエイター、カイ・セナト氏のライブストリーミングイベント。ただTwitchにとっては諸刃の剣かもしれない
記事のポイント 人気クリエイターのカイ・セナト氏はライブストリーミングイベントで73万人のサブスクライバーを獲得し、Twitchの記録を更新した。 ただしTwitchはルール運用や広告主保護に課題を抱えることが浮き彫りに。トップストリーマーへの依存とリスク管理の難しさが指摘された。 セナト氏は多方面での飛躍を計画しており、Twitchはトップクリエイターの離脱リスクとプラットフォーム依存の課題に直面している。 Twitch(ツイッチ)クリエイターのカイ・セナト氏が、1カ月間に及ぶライブストリーミングイベント「サバソン(subathon)」を終えた。30日間を通して行われたこのライブ配信で、同氏はTwitchのサブスクライバー数の記録を塗り替えてみせた。 クリエイタープラットフォームとしてのTwitch。その宣伝に、今回のイベントが大いに役立ったことは間違いない。しかし同時に、そこにTwitchオリジナルのIPがないことに起因する、さまざまな課題も浮き彫りになった。 セナト氏の今回の配信は、ある意味、ブランドセーフティをめぐるTwitchのガイドラインの限界を確かめるテストにもなった。業界専門家からなるTwitchの諮問グループ、セーフティ・アドバイザリー・カウンシル(Safety Advisory Council)は5月に解散したが、同社はその後、将来の広告主に向けてブランドセーフティツールを改善すべく、しかるべき手順を踏んできた。 その一環として、11月1日、政治的な内容をはじめとする、物議をかもすコンテンツを含んだ配信をユーザーの側で非表示にできる新機能が追加された。この新機能を使うと、コンテンツのラベルが生成されるため、ブランド各社は広告出稿するコンテンツのタイプについて、コントロールしやすくなるのだ。 とはいえ、セナト氏の今回の配信では、PG-13指定やR指定的な行動が時折見受けられたものの、Twitchの側で公的措置を取って、物議をかもしてもおかしくない内容から広告主を保護することはなかった。そして、そこに浮き彫りになったのは、一部の人気ストリーマーと広告主のニーズの相違だった。となると、必要になってくるのは両者のニーズの熟慮だが、その小さな針の穴に糸を通す作業には、かなりの慎重さが要求されることになるだろう。 なお、この記事が米DIGIDAYで最初に配信されたあと、Twitchの担当者から次の文面が米DIGIDAY宛に送られてきたという。「ライブコンテンツには独特の魅力がある。そこでは、Twitchストリーマーの本物の姿が見られ、視聴者はリアルタイムで展開する体験のなかで、自分と同じ興味を持つ人々とその体験を共有できる。Twitchストリーマーが自身のコミュニティにもたらす真正性と創造性は、ライブ配信とライブコンテンツクリエイターをメインストリームカルチャーの最前線へと押し上げている」。