イライラ、寝起きがだるい...「働きすぎている人」にでる体の危険信号
イライラするのは、オーバーワークの危険信号
ここまで読んで「自分は頑張りすぎというほど頑張ってはいないから、大丈夫だろう」「本当に努力している人に比べたら、自分のストレスなんて」......などと思っていませんか? 実は、相談に来た方に「頑張りすぎでは?」と聞くと、ほとんど定型文のようにこうした答えが返ってきます。オーバーワークの人に限って、それを認めようとしないものなんです。 ですがそれでは、ようやく無理をしていたことに気づいたのは、大病で倒れたとき......なんてことになりかねません。それを防ぐためにも、自分の「疲労」「ストレス」のバロメーターを知り、日常的に意識しておく必要があります。 前述のように、普段会わない人に「頑張りすぎじゃない?」と指摘してもらうのも有効な手段ですが、セルフチェックが可能な基準も持っておくことが肝要です。私が相談に来る方々の状態を判断する際には、次に挙げる2つのことを重視しています。 一つは、些細なことにイライラしてしまわないか、ということ。例えば、駅のホームでちゃんと並ばない人を見ただけで、無性にいら立ってしまう。朝、お隣さんに挨拶をしても返ってこなかったときに、「気づかなかったのかな」と流せずに、「無視された」と突発的に怒りを感じてしまう......。 そんな「突発的イライラ」は、頑張りすぎ(=過労で疲労とストレスが一定ラインを越えている状態)による、メンタル悪化のサインかもしれません。以前相談に来られた方の中にも、「人混みにイライラするあまり、朝は渋谷のセンター街を通れない。かなり遠回りして通勤している」とおっしゃった方がいました。 普通の状態であれば、たいていの人は、多少マナーの悪い空間でも素通りして通勤することができるはずです。最近やけにイライラすることばかり、と感じたときは、周囲ではなく自分が「頑張りすぎ」に陥っていることを、疑っていただけたらと思います。
「朝、身体が重い」は当たり前ではない
もう一つ、サインとなり得るのが「睡眠」です。寝つきが悪い、途中で目が覚めてしまうなどの不眠症状はもちろん、たとえ眠れていても、朝「疲れが取れていない、身体が重い」と感じたら要注意です。 中年以降になると「起きたときから疲れている」なんてよくあること、と思ってしまいがち。しかし、本来は「目覚める=休息完了」が基本です。毎朝、起きたときが一日で一番元気でなければおかしいのです。 忙しい平日なら、単なる睡眠不足という可能性もありますが、十分に眠ったはずの休日の朝、元気いっぱいで起き出すことができないとしたら、頑張りすぎている可能性が大だと思ってください。 忙しい日常の中でも、今挙げた「イライラ」と「睡眠の質」の2項目だけは、最低でも週1回は振り返る習慣をつけましょう。そうすれば、自分の「頑張りすぎ」に、自分で気づいてあげることができるようになると思います。 そして、もし自分が「頑張りすぎ」だと気づき、強制オフなどの習慣を取り入れ始めたら、少なくとも3カ月は継続してください。長い時間をかけて染みついた「習慣」を改めるのですから、改善にも時間が必要です。 その際は、日常的な取り組みに加えて、週末や長期休暇に温泉へ出かけたり、スキーやキャンプを楽しんだり、などの「転地療法」的な方法も有効。日常から離れることで、ストレスを効率良く解消し、頑張りすぎるクセをリセットする効果が期待できます。 まとめて休暇を取るのが難しければ、近場のホテルに泊まるだけでも効果があるもの。週末だけパソコンやスマホを遠ざけるデジタルデトックスも、手軽に「非日常」を体験できる方法としてお勧めです。