買収か寄付か、浮上した公選法違反疑惑 斎藤知事は弁明「PR会社社長はボランティア」
激戦となった兵庫県知事選を制し再選された斎藤元彦知事が、交流サイト(SNS)戦略などに携わったPR会社に報酬を支払ったとして、公職選挙法違反(買収)に該当する可能性が浮上している。斎藤氏は25日、SNSなどの選挙運動には「ボランティアとして代表が個人で参加した」と弁明したが、この代表には県の有識者会議委員の肩書があり、たとえ無償の選挙運動であったとしても、こうした立場の人からの寄付を禁じた別の条文に違反する恐れがあるとの指摘も上がっている。 【写真】斎藤氏「ずっと一人ぼっち」雨中の演説で本音ポツリ 事の発端はPR会社の代表が20日、SNSに「広報全般を任せていただいた」「私が監修者として、選挙戦略立案、アカウントの立ち上げ、コンテンツ企画などを責任を持って行った」などと投稿したことだった。撮影やライブ配信を自ら行うなどしたとし、「食べる暇も寝る暇もない程だった」とも記した。 総務省のホームページでは、選挙運動用ウェブサイトやメールの企画立案を行う業者への報酬について「業者が主体的・裁量的に選挙運動の企画立案を行う場合には、選挙運動の主体であると解される」と記載。「報酬の支払いは買収となるおそれが高い」としている。 兵庫県選挙管理委員会も「業者がSNSを主体的に運用し、それに対して報酬が発生していた場合、一般論として買収と考えられる可能性が高い」と説明。PR会社の代表には外部有識者会議「兵庫県地域創生戦略会議」委員の肩書もあり、選管の担当者は「代表が公選法の定める『特別の利益を伴う契約の当事者』であれば、無償であっても(寄付を禁じた)公選法に違反する可能性がある」と話す。 一方、斎藤氏の代理人弁護士は「依頼したのはポスター製作など法で認められたもの」「選挙活動の広報戦略の監修を担ってもらった認識はない」と説明し、「公選法に抵触する事実はない」との見解を示した。PR会社側はこれまでの取材に「対応できない」などとしている。 ■「コンサルは選挙運動しない」 選挙プランナーによる選挙コンサルタントが普及する中で、どこまでが公職選挙法違反になるのか。選挙コンサルティング会社「アスク」(東京)の社長で選挙プランナーの三浦博史氏は「選挙コンサルティングにおいて選挙運動はしないというのが大原則。あくまで戦略や戦術をアドバイスするのが仕事だ。有権者への働きかけは一切しない」と話し、今回のPR会社の動きに疑問を呈した。