大阪府・市で検討進む「一元化条例案」とはどんな中身?
大阪府と大阪市の広域行政を一元化する条例案がこのほど、大阪府議会および大阪市会に提出され、議論がスタートしました。一元化条例案は、昨年11月の住民投票で否決されたいわゆる「大阪都構想」の代案ですが、その中身はどうなっているのか、そして都構想とは何が違うのでしょうか。 【拡大写真】会見で報道陣の質問に応じる大阪市の松井一郎市長
役割分担や費用負担は本部会議で協議
一元化条例案は、大阪府と大阪市による「大阪の成長戦略」と「まちづくりおよび交通基盤の整備」についての仕事を大阪府に一元化する、言いかえれば、大阪市が行なってきたそれらの仕事を府に移すためのものです。 府と市が別々に施策を進めた結果、似たような施設が重複するなど弊害が現れる「二重行政」を防ぐため、府市一体で広域行政に取り組む仕組みの制度化を図ります。 同条例の制定により、二重行政を解消するとともに大阪を成長・発展させ、ゆくゆくは災害などで東京の首都機能に大きな支障が出た時に代役を担える「副首都・大阪」の実現をめざすというのが基本理念です。
条例が施行されたらどうなる?
条例が施行されれば、JR大阪駅北側の貨物ヤード跡地にオフィスビルや商業施設、ホテルなどの設置を計画する「うめきた2期地区開発プロジェクト」や、23年春に開業予定の北梅田駅(仮称)からJR難波駅を経由して南海新今宮駅の間をつなぐ「なにわ筋線」、阪神高速道路の淀川左岸線を近畿自動車道まで延伸する事業などが市から府に委託される予定です。 協議の場として、「副首都推進本部会議」を設置。本部長を知事が、副本部長を市長が務める他、府市の職員らで構成します。成長戦略やまちづくり、交通基盤整備の方向性などについて協議する他、これら広域行政における府市の役割分担や費用負担についても話し合います。
維新、一元化条例案は「都構想」の代案と位置づけ
大阪維新の会、前代表の松井一郎市長と現代表の吉村洋文知事は、この一元化条例案を大阪市を廃止して6つの特別区に再編する「大阪都構想」の代案と位置づけます。 昨年11月1日の住民投票で、都構想は2015年に続いて再び否決されました。しかし、吉村知事や松井市長を含む大阪維新の会は、その差がわずかだったとして、住民投票直後から一元化条例の制定に意欲を示してきました。 都構想では、大阪市を廃止するとともに、成長戦略やまちづくり、消防、水道、健康、教育などの広域行政の仕事を府に一元化する予定でした。 大阪市副首都推進局の担当者によると、今回の一元化条例案は、大阪全体の成長と発展にとって成長戦略とまちづくりが重要との観点から、これらの一元化に特化する形で検討が進んだということですので、都構想の縮小版と言えます。