大阪市「総合区条例案」2月議会への提出見送り 松井市長「公明党が旗を振れないと」
「公明党から、支援者に説明する時間がないという話があった」
大阪市の松井一郎市長は4日午後、大阪市役所で定例記者会見を開き、市内に24区ある行政区を8つの「総合区」に再編する条例案の2月議会への提出を見送った理由について「(案を作った)公明党から、支援者に説明する時間がないという話があった」と語った。ただ、総合区自体はあきらめておらず、住民への説明会を実施して理解を求め、総合区の導入を実現したい考えを示した。 【中継録画】「市でワクチン接種推進本部を設置。接種は無料」大阪市・松井市長(2021年2月4日)
総合区は地方自治法改正により政令市に導入できるようになった制度
総合区は、2014年の地方自治法改正により政令指定都市に導入できるようになった制度。 従来の行政区と比べて、区長の選び方や権限などの面で違いがある。 行政区の場合、区長は職員の中から市長が選任するが、総合区では、市議会の同意を得て市長が選任する。 権限も、総合区の区長は市の予算案に意見を述べられる他、総合区職員の任命権もあるなどより幅広くなる。
総合区導入の取り組みに力を入れてきた松井市長
昨年11月1日の住民投票で、大阪市を廃止して4つの特別区に再編するいわゆる「大阪都構想」が僅差で否決された。 大阪維新の会前代表の松井一郎市長は同5日の定例会見で「24区は多過ぎるし、一定規模に集約するほうが区長の権限や裁量を拡大できるので、基礎自治体の各区の機能強化につながる」と話すなど、総合区導入の取り組みに力を入れてきた。
2月、3月市会への総合区条例案の提出は見送りに
しかし、大阪維新の会と公明党の大阪市議団が協議の結果、10日からの2月、3月市会への総合区条例案の提出は見送ることとなった。 これについて、松井市長は記者会見で「公明党の案で進めようとしたが、公明党から、支援者に説明する時間がなく、議会での議論をリードするどころか旗がふれないという話があり、提案をひかえた」などと内幕を語った。
20年から30年先を見たときに、都市内分権は必要
松井市長は「(大阪市の)20年、30年先を見たときに、都市内分権は必要」とも述べ、自身の市長任期中の総合区導入に依然として意欲を示す。
「今秋にも市民向けに総合区の説明会を開きたい」
そして「今後(新型コロナウイルスの)ワクチン接種が一定規模終了してから、各区で説明会をやっていきたい」として、今秋にも市民向けに総合区の説明会を開きたいとしている。 (取材・文:具志堅浩二)