綾野剛の現在地「カメレオン俳優だなんて言われますけど」
北川景子と絶妙バディ、DAIGOとも心許す仲
最新作となる映画「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」は人気作家・中山七里氏の原作で、安楽死を手口に末期患者ばかりが犠牲となる連続猟奇殺人事件を描く。綾野は破天荒な直感型の刑事、犬養隼人を演じる。北川景子が演じる冷静沈着な分析型の刑事、高千穂明日香とのバディも見どころの一つ。発表されていないシークレットキャストも豪華な顔ぶれだ。 「公私混同していく犬飼だけど、高千穂のまなざしでバランスが取れていく。2人は凸凹コンビではなくてシンクロバディ。一心同体、一蓮托生。映画の序盤、地に足を固めてじっくり見せていくことで、終盤のスピード感が際立ちます。スピーディーな展開は心地いいですが、それだけだといけない。近年の作品は間とかテンポが遅いと見てもらえないんじゃないかと怖がる傾向にあると思いますが、この作品は撮影中も緩急を大事にしていて、若い方々から年配の方々まで楽しんでいただきたいという現場の気概を感じました」 時折はさまれる2人が居酒屋で飲むシーンは、緩急をつけるのに一役買っている。 「プライベートな一面が垣間見れて、素敵なシーンだと思います。高千穂は犬飼の女房役を買って出てくれて、仕事ではいつも犬飼のことをしっかり見てくれている。でも居酒屋で飲んでいるときは逆に、高千穂が吐露したものを犬飼が全部受け止める。理想の関係ですよね、持ちつ持たれつという」 北川景子だからこそ、信頼関係をすぐに築けたと明かす。2人は2018年公開の映画「パンク侍、斬られて候」で初共演しているが、その時から波長が合ったという。 「2003年デビューの同期ということもありますが、(北川の夫の)DAIGOさんにも普段からお世話になっていて、おふたりには心を許しているのも大きいです。北川さんは役者として主演を張れる人で、歓声と罵声の中を生き抜いている。そして、どこまでも優しさを持っている。やっぱりこういう人たちと僕は仕事がしたい、とあらためて感じました。作品づくりは一蓮托生だし群れることを恐れちゃいけない。個の力ももちろん大事だけど、それ以上に大事なのはちゃんと手と手を取り合うことだと思います」