「オレ、結婚と昇進のダブルで幸せなはずなのに…」夫のうつ病の原因は「結婚生活」と「仕事」のどっち?
近年、メンタルヘルスの不調を訴える人が増加しています。厚生労働省のデータ(※)によれば、2020年の精神科の外来患者数は約590万人(約20人に1人)。 【データ】セックスレスの割合は? 年齢別セックスの目的は? ※ 厚生労働省「令和5年版 厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会- 」 図表3-2-13 結婚と同時に管理職への昇進。おめでた続きで順風満帆に見えた男性は、その後うつ病で休職を余儀なくされました。彼が心を病んだ原因とは?
昇進と結婚、おめでた続きのはずが…
兵庫県在住の将児さん(仮名・38歳/会社員)は、大手機械メーカーのシステムエンジニア。30代半ばになり、チームリーダーを任されると、それまでとは仕事環境が一変、業務の大半がプロジェクト全体やお金の管理になりました。 プログラムを組むことが大好きで情熱をかけていた将児さんにとって、現場を離れてしまったのは自分のアイデンティティの一部を失ったようなものでした。彼にとっては大きな精神的ダメージとなったのです。 また、あまり場を仕切るのが得意でない将児さんは、管理職に向いていないと感じたこともストレスの一因です。 同じころに結婚が決まり、彼女と一緒に暮らし始めました。新婚の楽しい時期だというのになぜかこのころから、日々「しんどい」「つらい」と感じるようになったといいます。 振り返ってみると、彼にとってつらかったのは、毎週のようにスケジュールに組み込まれた結婚式の打ち合わせでした。 結婚式に関しては新婦がイニシアティブを握ることも少なくありません。しかし、彼女は自分で何かを決めるのが苦手なタイプ。 将児さんもリーダーシップがある方ではありません。それでも将児さんは、「彼女に喜んでほしい、負担をかけたくない」とできるだけ自らが動こうとしました。 今思えば「それが間違いだった」のです。 振り返ってみると、このときにすでに心を病む兆候が出ていたのかもしれません。「結婚式のひとつひとつを決断することが耐えがたい苦痛だった」と将児さん。 彼女がドレスをいくつか試着して「どれがいい?」と尋ねても「どれもキレイ」としか答えられなかったといいます。彼女が悪いわけではなく、「自分自身のキャパを完全に超えていていた」と将児さんは話します。