サイボウズに負けじと、AIに舵を切るkintoneパートナーたち ― Cybozu Days 2024注目ブース
サイボウズの年次イベント「Cybozu Days 2024」が開催。セッションの他にも126のブースが出展され、多くの人だかりができていた。そんな中、近年のAIブームの波は、kintone関連にも訪れており、なんと、40のブースでAIに関する機能やサービスが披露されていた。 【もっと写真を見る】
2024年11月7日から8日、幕張メッセにてサイボウズの年次イベント「Cybozu Days 2024」が開催された。 今年も活況で、セッションの他にも126のブースが出展され、多くの人だかりができていた。そんな中、近年のAIブームの波は、kintone関連にも訪れている。なんと、40のブースでAIに関する機能やサービスが披露されていた。本記事では、注目の5つのブースを紹介しよう。 アールスリーインスティテュート「gusuku Customine」 「gusuku Customine(グスク カスタマイン)」は、ノーコードでkintoneをカスタマイズできる、標準機能にはない様々な“やること”を実装できるツールだ。2024年5月には、やることに「OpenAIを呼び出してテキストを生成する」、「OpenAIを画像付きで呼び出してテキストを生成する」が追加され、ChatGPTの機能をkintoneで使えるようになった。 「OpenAIのAPIに対応しており、kintoneのデータに基づいて、AIに問い合わせができます。プロンプトはテンプレート化でき、kintoneのレコードやテーブルの情報を抜き出してきて埋め込むことも、データに基づいた分析も可能です」とアールスリーインスティテュート 取締役の金春利幸氏。 例えば、アールスリーインスティテュートの社内では、求職者の面接時に、その情報をAIでサマリーして、ポジティブなのかネガティブなのかを判別。その結果をSlackに投稿しているという。面接の記録を全員が読むのは面倒だが、サマリーがビジネスチャットに流れてくるなら、スムーズに共有できる。 他には、まだ実験段階だが、出張申請にもAIを適用しているという。出張先の場所や遠さなどで経費の上限が異なるなど独自のルールがある中で、kintone内のデータを基に、AIに判定してもらおうと試みているとのことだ。 ショーケース「Associate AI Hub for kintone」 「Associate AI Hub for kintone」は、AIアシスタントがkintoneアプリを作成したり、カスタマイズするためのJavascriptを生成したり、アプリに入れるデータを生成したりしてくれる連携サービスだ。 ポータルから立ち上がるモーダルにて、AIアシスタントが『どんなアプリ作りたいですか』と質問してくる。そこで、「議事録アプリを作って」や「入退室管理するアプリを作って」などと入力すると、必要となるフィールドとフィールド種別が提案され、問題がなければそのままアプリを作成してくれる。 「フィールドを作った後に、『時刻と日付のレイアウトは近くして』といった指示もできます。これまでは、アプリの作成後にフィールドをドラッグして調整していましたが、一発でバチッと作ってくれます。アプリにデータを入っていると、活用のイメージがわきやすくなりますし、ダミーデータも生成してくれます」とショーケース SaaS事業本部の飯嶋渉氏。 また、kintoneはJavaScriptで見た目をカスタマイズしたり、イベントをハンドリングしたりできるが、書けるスキルを持つ人を確保するのが難しい。このサービスがあれば、Javascriptの生成もAIに任せられ、契約終了後にも使い続けられる。 M-SOLUTIONS「Smart at AI for kintone Powered by GPT」 「Smart at AI for kintone Powered by GPT」は、kintone内でChatGPTなどの生成AIを、セキュアに利用できるようにする連携サービス。とにかく簡単に、ノーコードならぬ「ノープロンプト」で活用できるのが特徴だ。管理者が予めプロンプトを登録しておけば、ユーザーは必要な情報を1~2行書くだけで、生成結果を得られる。 テンプレートも豊富で、現在400種類以上のプロンプトがすぐに使える。有償プランは銀行でも採用されているなど、セキュリティ面でも安心できるサービスだ。 「kintoneはバッチ処理が苦手なので、これまではレコードが登録されたり、フォームに入力された時に実行して、生成していました。しかし、今回エージェント機能を追加しまして、日時や週次、月次などで生成処理を実行できるようになりました」とM-SOLUTIONSの代表取締役社長 CEOである植草学氏。 例えば、社員の日報を自動でサマリーして、マネージャーや社長に送信するといったことが可能になる。レコードを追加することもでき、特定の銘柄の株価を決まった時間に取得して、kintoneに保存することも可能だ。OpenAIの推論に強い「o1」モデルを使えば、数字の集計にも力を発揮して、営業系でも活用できるという。 NDIソリューションズ「きんちゃぼ」 「きんちゃぼ」は、kintone上で利用できるAIチャットボットだ。kintone内のFAQデータを利用し、問い合わせ対応などができる。2024年10月には、企業内の固有のデータを、kintone経由で利用できるようアップデートされた。 「例えば、社内規定をkintone上に登録をすることで、『有給の件数を知りたい』といった問い合わせに対応できます。RAGの仕組みで、『アニバーサリー休暇と通常の有給の合計で、残り何日です』といった企業オリジナルの回答をすることが可能です」とNDIソリューションズ 第1営業本部の菅谷実穂氏。 kintoneにも検索機能はあるものの、アプリをまたいで検索をかける場合、関係ないアプリや添付ファイルが引っ掛かり、地味に手間がかかることが多い。AIを活用すれば、見たいものが一発で見つけられる。 「私は提案書をイチから作るのが大変なので、過去のデータを参照するときに使ってます。『kintoneに関する提案書を作りたい』と書くと、過去の提案書のパワーポイントやPDFが一覧で提示されれます。それらを組み合わせてまた新しく提案書を作ると新しいデータとして追加されて、どんどんブラッシュアップされていくのです」(菅谷氏) トヨクモ「kMailer」 「kMailer(ケイメーラー)」は、kintoneと連携するメール配信システム。kintone内で管理されている顧客情報やデータを引用し、個別または一斉にメールを送信できる。請求書や契約完了通知などの定型メールの自動送信、特定の日時に合わせた予約送信なども可能だ。また、添付ファイルの送信にも対応しており、ファイルのダウンロードにはパスワードを設定できるためセキュリティ面でも安心できる。 トヨクモ マーケティング本部の古川祐実氏は、「kMailerには『AIアシスタントβ』という機能を搭載しています。AIにどんなメールを作りたいか指示すると、リッチなHTMLテンプレートを自動生成してくれます。例えば、オレンジ色にした『お試し』のボタンを入れたいとか、本文の見出しを何色にしてといった指示ができます。トヨクモのkintone連携サービスとしては、初めてAIを導入した機能です」と説明してくれた。 以上が、AI機能を備えたkintone関連サービスのブース紹介となる。kintoneでもAIを活用することで、業務効率をさらにアップできる。関連サービスも活用して、AIをどんどん使い倒していこう。 文● 柳谷智宣 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp