ミドル級”最強”ゴロフキンが2日後に迫った村田諒太との”世紀の一戦”を前に公約した「見応えある試合」の意味を紐解く
石田が最強ゴロフキンの死角を見たのは2018年9月に行われ0-2の判定で敗れたサウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)との再戦だ、序盤にゴロフキンはアルバレスにプレッシャーに押され、左ボディやボディからのフェイントをかけられての左フックを浴びてひるんだのだ。 だが、石田は「問題は入り方だと思います。簡単には入らせてくれないでしょう」と言う。 ボクシングIQの高い村田も、重々課題を承知していて、どう中に入りインファイトに持ち込むかの研究を重ね、スパーリングであらゆるパターンを磨いてきた。8年前に村田はゴロフキンのキャンプに特別に合流することを許されスパーリングを行っている。ゴロフキンはダメージを与えないように気をつかって村田の肩や腕を殴ってきたそうだが、そこで「もしかしたらここが突破口になるかも」のヒントはつかんで帰ってきた。 その記憶はまだ生きていて、3月から始まったホテル暮らしの間、暇があればゴロフキンの過去の試合映像を見て「クセも把握した」と言う。 ゴロフキンのコメントの通り互いに複数の攻撃パターンを用意。激しい駆け引きの火花がリング上で散ることになる。「見応えある試合になる」というのは、そういうことかもしれない。 村田は2019年12月のスティーブン・バトラー(カナダ)戦以来、2年4か月も試合から遠ざかっているが、ゴロフキンもまた2020年12月のカミル・シェルメタ(ポーランド)戦に7回TKO勝利して以来、1年4か月のブランクがある。 ゴロフキンは、「確かに前回の試合からかなり時間が経っています。飲み込まなければいけないことはたくさんあります。ただこれだけ長く時間が空いてしまったのは自分に原因があるわけではありません。それに対戦相手(村田選手)も同じ状況にあること、これは私にも彼にも同じ条件なのです」と意に介していなかったが、米メディアの中からは、この空白の期間を問題視する声がある。米の専門メディア「ボクシング・シーン」によると、大手プロモーター「マッチルーム」のエディ・ハーン氏は、DAZNの取材に対し「ゴロフキンにとって危険で厳しい試合になる」と断言している。 村田に対しては「ゴロフキンへの恐怖心が消えているか。3、4年前と比較して、今の村田の気持ちは『この試合に勝てる、接近戦を恐れない』だと私は思う」とサプライズを起こすことへ期待を寄せ、一方のゴロフキンに対しては、「ゴロフキンには何が残っているのか。パワーは最後の手段で、足の動きは鈍くなるのか、以前はよく打たれていた。さらにパンチをもらうようになるのか。もし、全盛期のゴロフキンが見られるなら、カネロとゴロフキンのスーパーミドル級王座をめぐる3度目の対戦は文句なしの怪物レベルになるだろう」という見方をしている。 運命のゴングまであと2日。今日7日は、新型コロナへの厳戒態勢が敷かれた中で両者が出席して調印式並びに公式会見が行われる予定となっている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)