発達障害の子には通用しない子育ての“正論” 誤った知識は悪影響が大きな「呪い」になる
発達障害の子を持つ親御さんは、知らず知らずのうちに気を張り、自分を追い詰めてしまいます。「自閉スペクトラム症」の診断を受けた3人のお子さんを持つ「外科医ちっち」さんの著作『発達障害の子を持つ親の心が楽になる本』より、「世間一般に言われていることはすべて正しい」という「よくある話」がうまくいかないときの対処法をご紹介します。 ■「呪いのようなフレーズ」がたくさんある 一般的には「正しいこと」のように言われているものの、実際には多くのケースで成り立たない「呪いのようなフレーズ」がたくさんあります。
誤った知識は悪影響が大きな「呪い」のようなものなので、しっかり否定しておくことが大切です。 呪い1)「愛情を持って子どもにかかわれば伝わる」 発達が気になる子の親で、言われたことがない人はいないかもしれません。場合によっては、健診で医療従事者に言われることすらありますが、間違いです。こういうことを言う人とは、かかわらないほうがいいでしょう。 低年齢で「自分の子は変わってる?」と思えた親は、そもそも相当深い愛情の持ち主です。子どもをよく見ていないと、そういった違和感に気が付かないからです。
人の脳の働き方は多様なので、人によってはどんなに頑張ってもできないことや感覚的にわからないことがあります。このようなとき、ただ愛情の話に変えてしまう人は、問題の解決にあまり真摯ではありません。このような話をしない人に相談しましょう。 ■必要なのは「知識、経験、技術」 子どもと良好な関係を築けるかどうかは、徹底的に「その子どもに伝わる+親が実践できる型」を探し出して、それを守れるかどうかで決まります。
平均的な子に伝わる言動かどうかではなく、伝えたい内容がその子に伝わるかどうかがすべてです。なので、必要なのは愛情というより、知識、経験、技術です。 呪い2)「能力は苦労することで伸びる」 大変な思いをすれば能力が伸びるとは限りません。正直、関係ないでしょう。能力が伸びるかどうかは、大変さではなく、相性のよさがすべてです。 ものすごく大変な思いをしてもまったく学ぶものがないことはありますし、本人には楽で簡単にできること(世間の平均的な方法とは異なったり、親には大変そうに見えたりすることもありますが)でも、能力が伸びることがあります。