発達障害の子には通用しない子育ての“正論” 誤った知識は悪影響が大きな「呪い」になる
親子でその子なりの方法を見つけるときに必要なことは、①根拠のない自信と②試行錯誤の回数と幅なのですが、子どもとの相性が悪く、苦労するような方法を強制されると①が摩耗しますし、②をやりたがらない原因にもなってしまいます。 むしろ、簡単で楽しいことをひたすら試しているうちに、その中から能力を伸ばしていけそうな方法が見つかることがあります。その方法を用いると実際に能力が伸びていき、過程は本人なりの変わった方法だけれども、見かけ上の結果は周囲と同じ……というのが一番うまくいく流れです。
呪い3)「極端に苦手なことは支援しないと伸びない」 わが子が「極端に苦手とするが、社会的には必要になること」について、親は焦って支援しがちです。Aの方法がダメなら、Bの方法。BがダメならC……という流れで、いろいろな方法を絶え間なく親のほうから提案して試してしまいます。そして、親側が思いつく限りのすべてを試してもまったくできず、親子ともにボロボロになってしまうこともあります。 結局、うまくできない時期に親がいろいろ試しても、本人が頭の中で「できない」と思っていたら、方法に関係なくできません。
では、「そういう苦手は、結局どうなったのか」といえば、多くはできるようになりました。「そんなに大変だったのに、どうやって? 誰かよいコーチが見つかったの?」と思いますよね。でも、そういうことではないのです。「ある日突然、練習することも、親が支援することもなく、本人ができるようになった」が答えです。 あまり言われませんが「待っているうちにできるようになる」ことはあります。実際に長女が成長してくるまで、私も誤解していました。
もちろん、事前に「待っているうちにできるようになる」とはわからないし、できるようになるまでの糧にはなっているでしょうから、試行錯誤することは問題ありません。 親だからこそとれる「いろいろ試してダメだったら、とりあえずできるようになるまで待つ」という選択肢を心の中に持っておきましょう。 ■発信できない子には酷なフレーズ 呪い4)「子どもの意思を尊重する」 子育てがうまくいっている人からよく聞くフレーズですが、嘘です。そもそも、人の意思は複雑だし、人はわがままです。「本当はそう思っていないのに、つい悪口を言ってしまう」ことはありますし、「必要だと思うけど、やりたくない」こともたくさんあります。