発達障害の子には通用しない子育ての“正論” 誤った知識は悪影響が大きな「呪い」になる
何より「自分でもどうしたいのかわからない」ことがたくさんあります。語彙や経験、権限に限りがある子どもであれば、なおさらです。子どもの意思を尊重しようとしても、「言っている内容がさっきと違う」「本人の希望に合わせたはずなのに嫌がる」ことは日常茶飯事です。 なので、子どもたちには正直に、「親でも伝わらないことはあるし、かなえられないこともある。親でもそうなのだから、先生や友達にはたぶんもっとある。でも、口に出すことで伝えることはできる。だからこそ、自分の意思を持つことと、それを他人に伝わるように話すことは大事なんだよ。他人はあなたのことがわからないから、わかってほしいなら、あなた側からわかるように表現しないといけないよ」と、年齢に合わせつつ何度も伝えています。
また、「子どもの意思を尊重する」というフレーズは、かえって子どもに負担を強制する側面もあります。意思は本人が発信するしかないので、発信できない子には酷なフレーズなのです。 「親の大変さ」の総量は、以下の式で表せます。 親の大変さ =①試行錯誤の大変さ+②誤った知識や思い込みによる大変さ+③親側の感情的な大変さ ①は年単位でかかったり、いつまでもなくならなかったりすることもありえますが、②は正しい知識を知った瞬間に消えます。③は考え方を変えることですぐ減らせます。大変さが減ると考える余裕が生まれ、試行錯誤の手数を増やせます。
外科医ちっち :外科医