大谷がスポーティングニュース最優秀男性アスリートに:国内外記者が振り返る前人未到のシーズン
ティム・サリバン氏のコメント
<プロフィール> ミズーリ大学卒業後、『シンシナティ・エンクワイアー』紙でレッズの取材を担当しキャリアをスタート。その後、同紙のスポーツコラムニストに任命され、さらに『サンディエゴ・ユニオン・トリビューン』紙やルイビルの『クーリエ・ジャーナル』紙でも同様の役職を歴任。1980年代後半、シンシナティ・レッズの監督時代にピート・ローズが巻き込まれたギャンブルスキャンダルと、その結果としての野球界からの永久追放を精力的に追ったことで知られる。 <サリバン氏のコメント> 私は大谷の2023年と2024年のシーズンを比較した結果、2023年の方がより印象的だったと考える。もちろん投手としてもプレーしたことが大きいが、それだけではない。OPS(出塁率+長打率)、スラッギングパーセンテージ(長打率)、オンベースパーセンテージ(出塁率)がいずれも2024年を上回り、11.29打席に1本というペースでホームランを記録していた(2024年は11.78打席に1本)。さらに、彼が所属していたエンゼルスはわずか63勝に終わったが、そのうち15勝は彼一人で挙げたものである。一方、2024年のドジャースはリーグ屈指の強豪であり、彼の数字がその強力な打線に助けられていることも否めない。2024年のシーズンを軽視するつもりはないが、2023年の活躍にはより大きな感銘を受けた。 それでもなお、彼は特別な存在である。彼のような選手はこれまで存在しなかったと言っても過言ではない。ベーブ・ルースが比較対象に挙げられるが、ルースでさえ彼ほど同時期に投打両方でこれほどの成果を上げたことはない。 2024年シーズンについて唯一注釈を加えるなら、ベースのサイズが大きくなったことで盗塁が若干容易になった点である。しかし、それでも彼は59個の盗塁を成功させ、わずか4回しか刺されなかった。これは彼がこれまで未知数だったスキルを新たに示したという点で非常に高く評価できる。 また、彼がドジャースでプレーしたことで注目度は格段に上がった。それは、彼が「オフ・ブロードウェイ」から「ブロードウェイ」の舞台へと移ったようなものだ。ヤンキースに次ぐ象徴的なフランチャイズであるドジャースは、オールスターチームを結成し、彼の怪我による貢献が限定的だったにもかかわらずワールドシリーズを制した。これは、彼が得た舞台の大きさと、チームのラインナップの圧倒的な強さを示すものである。 エンゼルス時代に彼の才能が隠れていたわけではないが、エンゼルスは決してリーグの看板チームではなかった。エンゼルスでの最大の瞬間は、おそらくWBCでマイク・トラウトを三振に仕留め、試合を締めくくった場面だろう。これは、ベーブ・ルースがボストンからニューヨークに移籍し、野球界を変えた出来事に似ている。現在の野球界がブラックソックス事件後のように新たな光を必要としているかは分からないが、彼は確実に我々を驚嘆させる存在である。 その幅広いスキルを見る限り、複数のシーズンにわたってそれを持続させた彼は、もし投手としてのフォームを取り戻せば「史上最高の選手」として議論される資格がある。ベーブ・ルース、ウィリー・メイズ、テッド・ウィリアムズらと肩を並べるごく限られた候補に名前が挙がるだろう。率直に言って、彼の存在には圧倒されるばかりだ。