三浦知良の本音…日本は「まだ本場じゃない」 描く日本サッカーの未来とW杯優勝「イエスともノーとも」【独占インタビュー】
レジェンド三浦知良と共に考える日本サッカーの歩みと未来
JFLアトレチコ鈴鹿に所属するカズことFW三浦知良は、今年プロ40年目を迎える。2月に58歳の誕生日を迎えるレジェンドが、新たなコンセプト「日本サッカーの未来を考える」を据える「FOOTBALL ZONE」のインタビューに応じ、日本サッカーへの期待、自身のプレーと今後への思いについて語った。日本代表チームは2050年までのワールドカップ(W杯)優勝を目標に掲げるなか、「まずはベスト8」と冷静に応じながらも、世界を引っ張る日本人選手の登場を予想している。(取材・文=荻島弘一/全3回の1回目) 【写真】キングカズ、1993年J開幕戦で左腕に「エルメス製」腕章を巻いた実際の姿 ◇ ◇ ◇ カズがブラジルから帰国して読売クラブ(現東京ヴェルディ)入りしたのは1990年7月。日本代表は韓国や西アジアの壁に苦しんで世界に出ることさえできず、W杯出場も夢物語だった。1993年創設のJリーグ人気を支え、日本サッカーを引っ張ってきた男は、日本サッカーの進化や日本代表の強さをどう見るのか。 「日本がアジアを代表するチームになってW杯に出られればと思ってはいたけれど、これほどになるとは思わなかった。ここ30年、Jリーグができてからの日本の進化は世界的にも例のないもの。選手の成長にしても、組織の素晴らしさにしても、環境も含めて世界を驚かせているのは間違いないよ」 世界的に見ても、驚異的な日本の進化。もっとも、カズは冷静だ。ブラジル、イタリアなどでプレーし、昨年はポルトガルのクラブにも所属した。かつて「世界に出る意義」を聞かれた時に「日本も世界の1つですよ」と答えたように、常に基準は世界にある。 「日本のサッカーは進化したけれど、まだ『本場』じゃない。生活の中心にサッカーがあるというわけじゃない。ブラジルなど南米、イタリアやスペインなどヨーロッパはサッカーが中心。ポルトガルもそう。(所属した)UDオリヴェイレンセの試合は200人くらいしか入らないけど、やっぱり本場。住んでいると分かるんだよね」 日本サッカーは進化した。だが、南米や欧州のサッカー文化とは少し異なる。10チームで始まったJリーグは、今や60チームに拡大した。それでも、まだ30年。長い歴史を持つ国とは違う。もっとも、カズ自身は日本のスポーツ界におけるサッカーをポジティブに見る。 「サッカーが中心になっている国は多いけれど、日本がそうなる必要はない。日本はスポーツが盛んだし、日本人はスポーツが好き。多くのスポーツがあって、中心には野球や相撲がある。日本のスポーツ文化はそれでいい。オリンピックであれだけ盛り上がるのは、日本とアメリカくらいなんだから」