ソフトバンクの“熱男”松田宣浩がキャンプイン直前に語る「知られざる苦悩」と「熱男誕生前夜への回帰」
ソフトバンクの“熱男”松田宣浩(37)が新型コロナの感染拡大の影響を受けて例年と違う異例のスケジュールで自主トレを消化してキャンプインに備えている。恒例のグアム自主トレを宮崎に母校の亜細亜大での2次自主トレも福岡に変更した。昨年チームは日本シリーズで巨人を4タテで撃破してV4を達成したが、松田は不甲斐ない成績に終わり連続試合出場記録は815でストップ。今季のテーマを「勝負」とする松田が逆襲へ向けて描くプランと、その知られざる苦悩を独占インタビューで聞いた。
「個人の不甲斐なさを日本一が消してくれた」
プロ16年目は宮崎の地から始動した。ここを選んだ理由は300段もある階段。 「野球よりもアスリートとして身体能力、基礎体力を上げたい」 例年通り横浜DeNAの首位打者、佐野恵太、元首位打者の宮崎敏郎らの豪華メンバーも集結。宮崎にも県独自の緊急事態宣言が発令されているため新型コロナの感染予防対策に細心の注意を払いながらとことん肉体をいじめ抜いた。グアム自主トレから場所は変更となったがトレーニングの量はむしろ増えたという。 昨年はロッテとのデッドヒートを終盤の12連勝で突き放してリーグ優勝。その勢いのままクライマックスシリーズを勝ち抜き、巨人との日本シリーズは、2年連続4タテの圧倒的な強さを示してV4を達成した。 「シリーズの初戦も先制して勝った。先に王手も取った。先に先に攻めることができたのが要因だと思う。勝ちたいという思いが強かったんだと思う」 だが、日本一の瞬間を松田はベンチから見守った。全試合にスタメン出場したが、最後の9回。三塁は牧原大成が守っていた。第4戦は2三振のノーヒット。短期決戦男が、シリーズでは2本しかヒットを打てず打点もなかった。だが、V4の感激が、すべての負の感情を消してくれたという。 「個人のふがいなさを日本一が消してくれた。優勝メンバーの一員になれただけでOK。若い頃だとまったく違う気持ちになっただろう。日本一になっても、なにくそ、むかつく、納得がいかないと。でも、そんなことを考えているとダメなんだという年代になった。自分だけよければという立場ではない。37歳。与えられたところで優勝ができたことが大きい」 5月に38歳になる男は大人になった。