なぜバース氏と山本昌氏は殿堂入りできなかったのか?
野球殿堂博物館が14日、今年度の殿堂入りを発表。プレーヤー表彰、エキスパート表彰はともに該当者なし。2008年以降に2つに表彰が分かれてから両方ともに該当者なしとなったのは初。それ以前を含めると1998年以来23年ぶり12回目となる。また特別表彰ではアトランタ五輪野球日本代表監督などを務めた川島勝司氏と、ノンフィクション作家の佐山和夫氏が選出された。 「残念ながら該当者はありませんでした」 NPBのコミッショナーで野球殿堂博物館の理事長である斉藤惇氏が、殿堂入りの通知式で、そう発表した。競技者表彰は、2008年以来、引退後5年以降の選手で、その後15年間が選考対象となるプレーヤー表彰と、監督、コーチ引退後6か月以上、もしくは引退後21年以降の選手が候補者となるエキスパート表彰に分けられたが、どちらも当選ラインに届く候補者がいなかった。プレーヤー部門は2年連続2回目。エキスパート部門では6年ぶり5回目の事態となったが、両方が同時に選ばれなかったのは初だ。 プレーヤー部門で該当者なしとなった理由はハッキリとしている。 実は、今回、山本昌氏、谷繁元信氏、井端弘和氏、小笠原道大氏、川上憲伸氏、斎藤隆氏、高橋由伸氏、谷佳知氏、西口文也氏、松中信彦氏、和田一浩氏の11人の新たな候補者が加わり、候補者人数が30人に膨れ上がった。昨年の候補者は21人だったから9人増だ。 プレーヤー表彰は15年以上の取材歴のある野球記者、エキスパート表彰は、表彰委員会幹事、殿堂メンバー及び、30年以上の取材歴のある野球記者の投票により選考され、有効投票数の75%以上を得票した候補者が殿堂入りを果たすことになっているが、今回、票が割れたのだ。 野球殿堂には、前年度の次点者が、抜けた当選者の票を翌年にもらって当選となる“年功序列”の傾向が見られるのだが、昨年、当選ラインに7票足りない259票(73.2%)を獲得していたヤクルトの高津臣吾監督は、今回、票が伸びずに前回とまったく同じ259票(72.3%)に留まった。今回は10票足りなかった。横浜DeNAの監督を退任したアレックス・ラミレス氏も昨年と同数の233票(65.1%)である。 彼らが、本来、得られたであろう票を食ったのが、初候補で244票(68.2%)を集めて2位に躍進した山本昌氏と138票(38.5%)で6位に入った谷繁氏の中日OBコンビだ。