2024シーズンを占う"春の鈴鹿"を、最強パワーユニットの生みの親と語る! 浅木泰昭×堂本光一【F1日本GP直前スペシャル対談】
■"春の鈴鹿"は重要な一戦になる! 堂本 鈴鹿サーキットでの日本GP(4月5~7日)が迫ってきましたが、正直まだしっくりきていません。これまではシーズン終盤の9月か10月に開催されるイメージがあるので、「もう鈴鹿か」という感じです。まだ春の鈴鹿に切り替えができていません(笑)。 浅木 そうですね(笑)。 堂本 これまでの日本GPといえば、チームの勢力図は固まり、マシンの開発も煮詰まり、タイトル争いも佳境に入った中で迎えていましたが、まだ各チームが手探りの中で行なわれます。 僕らファンもどうやって新しい日本GPを楽しめばいいのか、手探り状態ですが、何かサプライズを期待したいですね。 浅木 その年のチャンピオンが決まるというレースではないですが、今シーズンを占うイベントになるのは間違いないと思います。開幕からの3戦は、砂漠の中のバーレーン、市街地のサウジアラビア、半分公道コースのオーストラリアと、特殊なサーキットで行なわれてきました。 鈴鹿での日本GPは今季初めて通常サーキットで開催されるので、各チームのマシンの実力がよりはっきりと見えてくると思います。
堂本 普通に戦えば、レッドブルとフェルスタッペン選手が強そうですよね。でも予選が拮抗している分、ちょっとしたことで面白い展開になる可能性はあります。 浅木 鈴鹿は抜きづらいコースなので、予選が荒れると波乱含みのレースになる可能性はゼロじゃないですね。 堂本 今年のフェラーリは一発のタイムではレッドブルに迫る速さを持っています。でも冒頭にも話しましたが、問題は決勝のペースです。タイヤに厳しい鈴鹿でフェラーリがレッドブルを相手にどこまで戦えるのか。チャンピオン争いの行方を左右する重要な一戦になると思います。 浅木 私はマクラーレンにも注目しています。昨年の日本GPでマクラーレンの2台が表彰台(2位と3位)に上がっています。もしレッドブルのセルジオ・ペレス選手がコケて、マクラーレン勢がふたりがかりでフェルスタッペン選手に戦いを挑む形に持ち込めれば、面白い展開になると思います。 堂本 日本GP前のオーストラリアで今季初入賞した角田選手にも期待したいですし、見どころはいっぱいです。春開催の新しい日本GPも見逃せませんね! スタイリング/渡邊奈央(Creative GUILD)衣装協力/KaraIn ヘア&メイク/大平真輝 ●浅木泰昭(Yasuaki ASAKI) 1958年生まれ、広島県出身。1981年、本田技術研究所に入社。第2期ホンダF1、初代オデッセイ、アコード、N-BOXなどの開発に携わる。2017年から第4期ホンダF1に復帰し、2021年までパワーユニット開発の陣頭指揮を執る。第4期活動の最終年となった2021年シーズン、ホンダは30年ぶりのタイトルを獲得する。2023年春、ホンダを定年退職。現在は、動画配信サービス「DAZN」でF1解説を務める。 構成/川原田 剛 撮影/樋口 涼(対談) 写真/桜井淳雄