2024シーズンを占う"春の鈴鹿"を、最強パワーユニットの生みの親と語る! 浅木泰昭×堂本光一【F1日本GP直前スペシャル対談】
堂本 なるほど。その点、レッドブルは頂点に立ってもなお開発の手綱を緩めないというのはすごいですよね。 浅木 PUがルノーだろうが、ホンダだろうが勝つんだという意気込みで開発しています。フェラーリも、いいマシンを仕上げてきました。特に予選は相当速いですね。 堂本 問題はレースペースです。昨シーズンのフェラーリはレッドブルに比べてタイヤの消耗が激しかった。そこがどう改善されているかに注目ですが、PUの勢力図はどう見ていますか? 浅木 私が退職する1年前の時点で、ホンダ、フェラーリ、メルセデスが横並びでした。開発が凍結された中、わずか1年で大きくパワーが変わったらレギュレーション違反ですね(笑)。フェラーリは昨年のデータを分析すると、サーキットによって速かったり遅かったりしているんです。 彼らは信頼性の問題があってパワーを絞っていた可能性があります。それを1年かけて改良して、今年に入って抑えていたパワーを解放させてきたのかもしれません。 堂本 メルセデスはPUでもホンダとフェラーリに差をつけられている可能性は? 浅木 パワーが落ちることはないでしょうが、フェラーリがパワーを解放していることが考えられるので、それでメルセデスが相対的に落ちるということはあるかもしれません。ホンダがどうだったかは言いませんけど(笑)。 堂本 現状ではレッドブルのライバルになりえるのはフェラーリが最有力ということかもしれないですね。 浅木 マクラーレンもマシンの改良が進めば、可能性はあると思います。とはいえ、フェラーリはレッドブルのマツクス・フェルスタッペン選手をまだギリギリのところまで追い込んでいません。フェルスタッペン選手の真の実力が見えていない可能性があります。 堂本 フェラーリは第3戦オーストラリアGPを制しましたが、フェルスタッペン選手はレース開始直後にマシントラブルでリタイアしています。開幕からの2戦は共にフェルスタッペン選手が圧勝だったので、今シーズンはまだ全力で走っていない可能性もあります。だからこそフェラーリにはもっと頑張ってもらうしかない。でもフェラーリは戦略ミスやポカがいつ飛び出すかわかりません(笑)。 浅木 そういう意味では来年が楽しみですよね。ルイス・ハミルトン選手のフェラーリへの移籍で、チーム体制がさらに良くなれば、もう少しレッドブルに迫れると思います。