2024シーズンを占う"春の鈴鹿"を、最強パワーユニットの生みの親と語る! 浅木泰昭×堂本光一【F1日本GP直前スペシャル対談】
■角田選手7位入賞!さらなる活躍に期待 堂本 中団グループも昨年同様に大接戦で面白いですね。その中で角田裕毅(つのだ・ゆうき)選手は第3戦オーストラリアGPで今季初入賞となる7位入賞を果たしました。ただRBは予選では好調ですが、レースになると、苦労している印象です。 浅木 RBはレッドブルと連携を強めるということで期待はしていたのですが、昨年とポジションはあまり変わっていません。車体に関しては、もちろんルールの範囲内ですが、他チームが怒るぐらいレッドブルをコピーしてもよかったと思います。 堂本 RBはまだチームとドライバーがマシンの全貌を把握できていない可能性があると思っています。 浅木 確かにまだ結論を出すのは早いですし、11、12番手にいれば、前で何かあれば入賞できるチャンスは十分にあります。実際にフェルスタッペン選手とハミルトン選手がリタイアしたオーストラリアGPでは入賞しています。 堂本 角田選手は今シーズン、速さに関してはチームメイトのダニエル・リカルド選手を上回っています。これからマシンが煮詰まってくればさらなる活躍が期待できそうですね。
■引くタイミングと引き継ぐこと 堂本 浅木さんは1年前まではホンダの技術者としてF1を中から見ていました。今は解説者として外から見ていますが、変化はありましたか? 浅木 やっぱり自分でやっていたほうが楽しいです(笑)。 堂本 そうですよね(笑)。 浅木 最後の1年間は後輩にPUの開発責任者の座を譲っていたので今とあまり変わりませんが、それまではエンジニアとして技術を見ていました。技術開発は楽しいですし、技術は嘘をつきません。こんな技術があったんだという発見があったり、こうしたらもっといいのにと思ってやってみたら性能が向上したり、本当に面白かったです。 堂本 ご自身が開発して育ててきたPUが今でもF1で勝利を重ねているというのは、どういう気持ちですか? 浅木 自分の子供のような部分があって、自分が生み出したものが世に残っているというのは技術者冥利に尽きます。 堂本 浅木さんと比べてはいけないかもしれませんが、僕も自分が演出し、2000年から主演を務める舞台『SHOCK』シリーズを今年限りで終えます。今後この作品がどうなっていくのかは、まだ何も決まっていません。 でも自分が作り上げてきた舞台をほかの人が演じるのは、きっと寂しいだろうなあと思います。浅木さんもリーダーとして開発したPUは残っていますが、今は後輩たちが引き継いでいます。寂しさもあるんじゃないですか? 浅木 そうですね。自分が技術の真っただ中にいた頃は、苦しみは多かったですが楽しかったという思いが強いです。その後、後輩たちに引き継ぎ、ホンダのPUが今も勝ち続けているのもうれしいですが、喜びの感情が微妙に異なります。やっぱり人がやっているのと自分がやっているのでは達成感が違います。