なぜ久保建英の新天地にビジャレアルが本命浮上したのか?
ビジャレアルに合計9シーズン在籍し、プレミアリーグのアーセナルでも活躍した35歳のレジェンド、カソルラと同じポジションでプレーすれば、最初はさまざまな面で比較されるだろう。ただ、期待はされていても、無条件で居場所が用意されているわけではないことは、久保本人が誰よりも理解している。マジョルカで刻んだ軌跡のように、実力で信頼を勝ち取ってこそ成長を果たせるからだ。 スペイン語をネイティブレベルで操るなど、ラ・リーガに挑んだ歴代の日本人選手とは一線を画す、特異なコミュニケーション能力も不敵にすら映る自信の源になっているのか。中断期間中に『アス』へ掲載されたインタビューで、久保はレアル・マドリードへ復帰する思いをこう語っている。 「すべては自分次第ですけど、レアル・マドリードに居場所はあると思う」 堂々と言及した「自分次第」にビジャレアルで待つ、新たなポジションを含めた挑戦が含まれる。稀代の戦術家として知られ、バレンシアやセビージャで結果を残したスペイン人のウナイ・エメリ新監督が、久保の獲得を強く望んでいることも追い風になっていると『アス』は指摘している。 実際に久保を獲得する場合、負担する年俸とレンタル料の合計で最低でも500万ユーロ(約6億2000万円)もの費用が発生するという。このためビジャレアルは、レアル・マドリードからレガネスへ貸し出されていた元U-20スペイン代表の有望株、MFオスカル・ロドリゲスを完全移籍で獲得するクラブ間交渉を、いったんストップしていると『アス』が4日の電子版で報じている。 財政的にも久保とロドリゲスを同時には獲得できない、という事情があるのだろう。以前から進めてきたロドリゲスの交渉を一時停止し、場合によっては白紙に戻すほど価値がある、とビジャレアル側に受け止められている久保はレアル・マドリードと話し合いの場を設け、届いているオファーの内容を精査した上で、今週中にも去就に関する結論を出す予定だと『アス』は報じている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)