なぜサガン鳥栖にクラスターが発生したのか…金監督はミーティングでマスクを着用せず
鳥栖で最初の感染者となった金監督の発症日は、佐賀県によれば敵地で鹿島アントラーズ戦が行われた8日となっている。体温は朝、晩とも36度台前半の平熱だったが、昼間に「微妙な違和感」を覚えたという。リリースに当初記されていた「体調不良」から変更した理由を、発熱や倦怠感、咳、味覚や嗅覚の異常などがなかったことを含めて、竹原社長はこう説明している。 「試合当日でいろいろな感情が交錯するなかで、いつもあるような体がだるいレベルでした」 一夜明けた9日朝も平熱だったが、空路で鳥栖に戻った後に、コーチ陣とクラブハウスで15分以上におよぶミーティングを開催している。 このときマスクを着けていなかった金監督は初めて倦怠感を覚え、夜になって発熱。最高で38度に達したが、翌10日朝には再び平熱に戻った。体調に問題なしと判断した金監督は、前述したように午前中に行われた練習の指揮を執っている。 PCR検査で陽性判定が出た後に実施した金監督へのヒアリングで、8日以降の経緯をクラブ側は初めて把握している。 11日にもオンライン会見を行った竹原社長は「私どもの管理不行き届きでした」と謝罪したが、発熱があったことを10日の時点で金監督も報告しておくべきだった。 Jリーグが策定した「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」では、37.5度以上の発熱が2日続いた時点でJリーグへの報告と隔離が義務づけられている。 しかし、一方では「体調の異変を感じたら休む勇気や、あるいは報告する勇気をもつ」とも明記されている。 味の素スタジアムで1日に行われたFC東京戦の前夜に、遠征メンバーの一人が38度の熱を出した。翌朝には平熱に戻ったが、鳥栖は万が一の事態を危惧して選手を隔離。鳥栖へ戻した上でJリーグにも連絡を入れ、Jリーグも本来ならば3日に結果が出る予定だった公式PCR検査を大幅に前倒し。発熱した選手を含めた全員の陰性を確認した上で、FC東京側にも連絡を入れて情報を共有した。 試合後にFC東京の長谷川健太監督が「(試合を)やるべきではなかった」と発言。発熱者がいた事実をめぐって賛否両論が巻き起こったが、Jリーグの藤村昇司特命担当部長は「コミュニケーションなどを含めて、齟齬はなかったと認識している」と問題なしを強調している。