デザイン最高! 初代フィアット・パンダが現代に復活? 新型「グランデパンダ」が登場。【新車ニュース】
初代パンダを彷彿させるデザインにイタ車好きは思わずニンマリ? フィアットから新型グランデパンダがデビューした。4代目パンダはEV版とマイルドハイブリッド版の二本立て。イタリア在住のジャーナリスト、大矢アキオが解説する。 【写真】新型フィアット「グランデパンダ」の詳細を見る!(全23枚)
初代パンダ&ゆかりの地へのオマージュ
フィアットは2024年7月11日、新型車「グランデパンダ」をトリノで発表した。メーカーはパンダ・シリーズを、あらゆる用途とユーザーに適した“自動車界のブルージーンズ”と定義。今回は、それを確立した1980年の初代から数えて4代目にあたる。セグメントはAからBへとランクアップされ、乗車定員は従来型が仕様により4人もしくは5人だったの対し、すべて5人乗りとなった。ただし全長は、Bセグメント平均の4.06mを下回る3.99mにとどめている。 車台には、同じステランティス・グループの「シトロエンC3」と共通で、広範なパワーユニットに対応できる「スマートカー・プラットフォーム」を採用。EV版は44kWhバッテリーと83kWモーターの組み合わせで、WLTP複合サイクルによる航続可能距離は320 kmである。マイルドハイブリッド版は、3気筒1.2リッター100HP エンジン+28HPモーター/48Vバッテリーを搭載。6段デュアルクラッチATと組み合わされる。 デザインはフィアットのチェントロ・スティーレ(スタイリングセンター)による。随所には、初代パンダと、今回の発表会場でトリノのランドマークでもある旧フィアット工場「リンゴット」ビルへのオマージュが散りばめられている。 フロントマスクを覆い、デイタイム・ランニングライトまで続くピクセル基調は、工場ビルのファサードにえんえんと続く窓を意識したものだ。 サイドは初代パンダの堅牢さを表現。太いCピラーやルーフラックがそれを強調する。前後ドア下部と後部パネルにプレスされたPANDAの文字は、初代の4×4仕様で同様の場所にみられるデカールやテールゲートの意匠を彷彿とさせる。 ボディカラーには赤、白、黒、緑、茶、青、黄の7色が用意されている。そのうち、カタログにおける代表的な塗色には鮮やかなイエローが選ばれている。ドイツ系ブランドとの差異性を強調すべく、フィアットCEO兼ステランティスのグローバルCMOのオリヴィエ・フランソワ氏が推し進める「No Gray」イニシアティヴにしたがったものだ。 室内にもリンゴット・ビルのデザインが反映されている。10インチ+10.25インチのディスプレイを囲む楕円は、ビルの最大の特徴である屋上テストコース跡をイメージしたものだ。ささやかな遊びとして、脇には初代パンダのミニチュアが添えられている。初代パンダで称賛されたラック型ダッシュボードも再現されており、その容量は合計13リットルという。 発表会の席上、フランソワCEOが最も得意げに解説した装備は、EV仕様の「スパイラル充電ケーブル」だ。最大7kWのAC用ケーブルがフロントフード下に収められているもので、チャージ時はフロントパネルの蓋を開けて引き出す。収納も従来型ケーブルよりはるかに簡単、かつラゲッジスペースを専有しないうえ、巻き取りで手が汚れるのを大幅に軽減できる。 グランデパンダは2024年7月から、ステランティスのセルヴィア工場で生産が開始されている。2024年末からヨーロッパで販売が開始され、続いて中東、アフリカで発売される予定だ。イタリアでの税込価格はマイルドハイブリッド版が19,000ユーロ(約296万円)未満、EV版が25,000ユーロ(約390万円)未満と発表されている。