“クラシック史上最大のコンサート”の立役者、アイザック・スターン【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
J・S・バッハ『2本のヴァイオリンのための協奏曲』 “史上最大のコンサート”の立役者とは
今日7月21日は、20世紀を代表するヴァイオリニストの1人、アイザック・スターン(1920~2001)の誕生日です。 歴史的名ヴァイオリニストとして活躍したスターンの業績の1つが、1960年以来、財政的な危機に陥ったニューヨーク「カーネギーホール」のプレジデントとしてその運営にあたり、一時は取り壊しの危機にさらされた同ホールの窮状を世界にアピールし、見事救ったことです。 そのシンボル的なイベントが、1976年5月18日に開催された“カーネギーホール85周年記念コンサート”でした。このチャリティー公演に手弁当で参加したアーティストは、バーンスタイン、フィッシャー=ディースカウ、ホロヴィッツ、メニューイン、ロストロポーヴィチに、アイザック・スターン。さらにはニューヨーク・フィルハーモニックまでもが加わったこの公演は、“史上最大のコンサート”と呼ばれるにふさわしい豪華さです。 もちろん、スターン自身も大活躍。メニューインとの共演による、J・S・バッハの『2本のヴァイオリンのための協奏曲』の名演は、今もライブ録音で楽しめます。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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