【2024年のEC業界予測】景況感は「厳しい」。押さえておきたい“警戒ポイント”と対策まとめ
数年前まで、連休の多さと消費の停滞にはほとんど関連性はなかった。しかし、近年はお客が消費にメリハリをつけはじめた影響で、ゴールデンウィーク前後に消費が鈍ったり、お盆休み明けから9月にかけてネットショップの売り上げが落ちたり、長期休暇の前後には露骨に買い控えが発生するようになった。 ■ 家電EC、寝具EC、食品ECは特に厳しくなりそう 巣ごもり消費の反動で、ただでさえモノが売れない2024年に、3連休が11回も発生することは、Eコマースにとっては“最悪のタイミング”と言ってもいいだろう。もちろん、外出が増えれば、アパレルや化粧品などは好調に売れると思われる。しかし、家電や寝具、食品などの巣ごもりで売れていた商品に関しては、例年よりも売り上げは厳しくなると予想している。
2024年のEC動向で警戒すべきは「2月」「12月」
■ 5月まで消費鈍化低迷の恐れ 1年を通して警戒が必要なのは「2月」である。2月は営業日数が少ないことに加えて、年末年始の長期休暇の影響を受けて、どこの業界でも消費が鈍い月となる。2024年は閏(うるう)年なので、1日営業日は多くなるものの、一方で、3連休が2回もあることから、コト消費は活況になる分、モノ消費は相当な打撃を受けると予想している。 その影響を受けて2月から3月にかけての新生活関連の消費も鈍くなり、場合によっては5月の連休明けまで消費の鈍化が続くことも考えられる。 特に2月14日のバレンタインデーは前後が3連休に挟まれる形になるため、例年よりも売り上げが鈍くなると予想する。コロナ禍以降、義理チョコの需要が急激に落ちていることから、バレンタイン商戦に力を入れるネットショップは、商品力のアップはもちろんのこと、早期割引のキャンペーンや特典を付けて、例年よりもお得感を強調した販促施策を展開し、対前年比の売り上げを維持したいところである。 ■ 9連休は「コト消費」が顕著になりそう もう1つ警戒すべき月は「12月」である。少し気の早い話だが、2024年から2025年にかけての年末年始は曜日の並びがよく「9連休」となる。その時期になると、景気も多少上向いていることが予想されることから、海外旅行にリベンジする消費者は少なくないと予想する。クリスマスのギフト品やケーキを買うお金を節約し、年末年始の旅行や外食などの「コト消費」にお金を使うことを計画している人が増えれば、その影響で、12月は例年よりもネットショップの買い控えが発生する可能性は十分に考えられる。 ■ 「ブラックフライデー」のタイミングにも要注意 この時期のもうひとつのタイミングの悪い話をすれば、2024年のブラックフライデーは11月29日の金曜日と「月末」にあたる。つまり、「ボーナス商戦」と「クリスマス商戦」と「ブラックフライデー」がトリプルで重なってボーダレス化することで、年末商戦が安売りの一辺倒になってしまう可能性が高いといえる。 昨今のAmazonはセールを活用した販促に力を入れており、2024年の11月から12月にかけて発生する“トリプルセール”に、全力でテレビCMやネット広告を投下すると思われる。場合によっては、実店舗とネットショップの年末商戦の売り上げをAmazonが総取りするぐらいの勢いでセールを仕掛けてくる可能性は十分に考えらえる。 Amazonへの出品対策や広告運用に力を入れているネットショップであれば、千載一遇の大チャンスになるが、商品力に乏しく、思うように広告に投資することができない小規模のネットショップは、例年よりも厳しい年末商戦になることが考えられる。 打開策としては、1年かけてリピート客をしっかり囲い込むことである。SNSや動画による情報発信に力を入れて、商品の価値を理解したファンを作る仕組みを構築することが、足腰の強いネットショップの構築につながっていく。