【2024年のEC業界予測】景況感は「厳しい」。押さえておきたい“警戒ポイント”と対策まとめ
たとえば、電車を待っている間や就寝前に、ぼんやりと「楽天市場」やAmazonのサイトを見て、欲しい商品を見つけてワンクリックで買ってしまった――というようなネットのウイドウショッピングが減ってしまったことをイメージすれば、Eコマースの消費が落ち込んでいる事情が理解できるのではないだろうか。
振り返れば2000年以降、ネットショップは急成長を遂げてきたが、その要因はEコマースという市場自体が、デフレと相性の良い販売方法だったことがあげられる。検索をかければ一番安い商品をすぐに見つけることができて、スクロールとワンクリックだけで商品を買わせることができるのは、消費者の衝動買いを引き起こしやすい利点があった。 ■ 高単価商品は実店舗優勢 しかし、インフレに局面が変わると、「高くて良いもの」を売るのには非対面のネットショップではお客との接触機会が少なく、無名の商品だと付加価値が伝わりにくくなってしまう。一方、実店舗では商品を直接触ることができて、スタッフの熱量のあるトークを直に聞くことができるので、高くて良い商品は売りやすくなる。 また、コロナ前までは「やや安い」商品でも売れていたが、財布の紐が引き締められると「圧倒的に安い」商品にお客が集中するようになる。「安く買う」が死活問題になるのだから、中途半端な安さのネットショップでは買わなくなる。そうなると、最安値のセール販売に強い資本力のあるネットショップが強くなり、その他大勢の“フツーの価格で売っているネットショップ”は、コロナ前のような売り上げの急成長が望めなくなってしまっているのが、現状だと思われる。 Eコマース業界はデフレ社会だからこそ、急成長できた市場であり、インフレにゲームチェンジした今、しばらくは低成長な市場が続くことが予想される。 ■ 連休が多い2024年。ECよりも実店舗派が増加
2024年は3連休が多いことも、ネットショップにとって大きな足かせになる。2023年は3連休が「7回」に対して、2024年は「11回」もある。コロナのリベンジ消費の影響で、この3連休に旅行や外食、実店舗でのショッピングなどにお金を使う人は増えて、一方で、ネットショップの消費が鈍ることが予想される。