「結婚して、性格まで変わってしまった私」夫の浮気と暴力。昔みたいに好奇心も笑顔もなくなった50歳妻の後悔【体験談】
感情のコントロールができない夫。暴力を振るわれボコボコにされた
沙織さんは、結婚後、2回ほど夫にひどい暴力を振るわれました。夫は、感情のコントロールができない人で、子どもが見ていようが公衆の面前だろうが、腹が立つとお構いなしに殴ってきました。 「その日、夫はふて寝をしていました。ふて寝しながらも目は開いていたので起きていたんです。その態度が気に入らなかったので、夫に当たらない程度に私が布団を蹴ると、『お前、何しよるんじゃ!』と言いながら殴られて、ボコボコにされました。子どもが止めに入っても殴り続けきて、私は頭や顔を殴られたショックで星が飛んでいました。」 家庭内のこととはいえ警察に被害を届けるべきだったのかもしれません。しかし、田舎町で小さいながらも会社を経営している家だったので、沙織さんは事を大きくしてはいけないと思いました。 「殴られて顔にあざができている写真は撮りましたが、警察にも病院にも行きませんでした。完治するまで1ヶ月くらいかかりました。許せないと思って弁護士に相談したこともありますが、『そんな写真は証拠にはならない』と言われました。」 感情が爆発したら抑制できない夫。いつしか沙織さんは、夫と揉めないように自分の感情を押し殺すようになりました。 「また殴られると嫌なので、自分にやりたいことがあっても、あまり主張しないようになりました。逆に、夫が『こうしたい』と言ったことには反抗せず、『はい、どうぞ』と言いました。結婚して自分らしさがなくなったと感じています。」 夫は他人に暴力を振るうこともありました。 「飲みに行った時に誰かに何か言われると、『あいつ、俺に意見しやがった』とぐちぐち言っていました。自尊心が高いので、小馬鹿にされたと思ってプチンと切れてしまうのでしょう。お店でも殴り合いの喧嘩をしてしまいます。すぐに手が出てしまうのは生来の性格ですね。結婚前は分かりませんでした。夫は、褒めてもらうとすごく気持ち良くなって太っ腹になります。自分が気に入った人の誕生日とかも大事にしていて、『そんなにお金を出す?』と思うこともしばしばありました。それは優しいのではなく、単に見栄を張りたいのでしょう。」 暴力と浮気、どちらの方が辛い?と聞かれたら、沙織さんは、迷わず「浮気」だと言います。 「浮気されたことが発覚した時は、精神的にかなり参りました。もちろん暴力も嫌ですが、主人を怒らせないように接したら回避できます。でも、私がどう頑張っても浮気は避けようがありません。主人は、私を騙すと言うより、まるで思春期の男の子が、母親がいないすきに悪いことを企むような感じで浮気していました。初めて浮気されたことを知った時、『私の存在って何なの?』と思うと虚しくなりました。」 かといって、暴力を振るわれるのが嫌ではないかというとそうではありません。 「ものすごく辛いです。『本当の私って、こんな私じゃない……』という感情がふとした瞬間に沸々とわいてきます。本当の私ってもっとよく笑うし、好奇心旺盛だし、沈黙の時間が長いタイプの人間ではありません。でも、笑わなくなりました。」 沙織さんは、自分を変えたい、変えるためにはこの家を出て行った方がいいのかな、と思うことがあると言います。 「夫が本気になれば、ついてくる女性はたくさんいるでしょう。子どもは家を出て東京の大学に行っていますが、数年後、お役御免になったら自由にさせてもらってもいいかなと考えることがあります。」 一度目の浮気はお金で片をつけ、なんとか気持ちの折り合いをつけた沙織さん。しかし、その後も、沙織さんが望むような幸せは訪れませんでした。嫁いだ先の小さな町で、夫と3人の子どもと地道に暮らしたかっただけなのに、その幸せはするりと手を抜けて、どこか遠くに行ってしまいました。沙織さんは、夫の二度目の浮気に翻弄されたのです。それは、「本気の浮気」ではないかと思えるほど長く、静かに続いていました。 後編では、沙織さんの夫の二度目の浮気と、発覚後の沙織さんの悩みについて伺います。 ▶【後編】記事はこちらから▶『浮気した夫を許せない。でも、離婚したら生きていけないかも?「だましだまし婚」のまま、老後に突入なんてまっぴら!【体験談】』
エディター・ライター/渡辺 陽