今日E-1選手権開幕!宮市亮が語る9年9か月ぶり代表復帰への思い…10代の欧州挑戦、引退危機の膝手術を乗り越えて「自分のためよりチームのために何ができるか」
すでに15試合に出場した今シーズンのプレー時間は624分に到達。5月18日の浦和レッズ戦でJ1初ゴールを決めると、主に後半途中から出場し、マリノスに前への推進力を与える役割を託されたなかで2つのゴールを追加した。 J1リーグ戦の首位を快走するマリノスで、それぞれが個としても輝きを放っているとして、森保一監督(53)は最多となる7人を招集した。 「野心を持ちすぎた10代のころを考えると、メンタルコントロールのところで自分は気負いすぎると上手くいかない。チームのために何ができるかが何より大事だと思うし、自分のためにというよりも、チームのために何ができるか。試合に出る出ないに関係なく、このチームでタイトルを勝ち取りにいくために自分ができることに最大限集中したい。そうすれば、自ずといろいろな結果が後からついてくるはずなので」 マリノス勢の一人として9年9ヵ月ぶりに代表に名を連ねた宮市は、父親の水沼貴史さんとの親子での代表として、32歳にして初招集されたFW水沼宏太とともに大きな注目を集めた。それでも、カタールワールドカップ代表入りへ、ほんのわずかながらでもチャンスがあるE-1選手権の3試合へ、これまでと同じく気負わずに臨む。 「サッカー選手としてこれだけ怪我を繰り返してきたのは誇れることではないし、むしろ恥ずかしいぐらいなんですけど。ただ、怪我で苦しんでいるアスリートや、いまは怪我でサッカーができない子どもたちや高校生、大学生もすごく多いと思います。でも、リハビリに取り組んでいる時間が報われるときが必ず来るはずなので。引退宣告をされたぐらいの選手が日本代表にまた入れるチャンスも、あきらめなければ必ずあるぐらいなので、そういった方たちを勇気づけられるようなプレーをしていけたらと思う」 親交のある森保ジャパンのキャプテンのDF吉田麻也(33、シャルケ)からは、何度も励ましの言葉をもらってきた。今回は特に宮市の心に響いたという。 「選ばれたことに満足せず、ここからもっと自分を出してほしいと言われました」 宮市が出場するチャンスがあるとすれば4-3-3の左ウイングか。いま現在の自分にできる最大限のプレーを心がけながら、それでいて日の丸にかける熱い思いは10年前と変わらずに、不死鳥のように蘇った宮市は香港戦のキックオフを自然体で待つ。 (文責・藤江直人/スポーツライター)