それはまるで『キングダム』!?伊沢拓司が語るトッテナムのほっとけない魅力【来日記念インタビュー前編】
ヴィッセル神戸戦は殴り合いに?注目は“真ん中”とポロ!
――昨シーズンの最終順位である5位という結果をどのように捉えていますか? 「めちゃくちゃいいのではないでしょうか。終盤のアストンビラの失速ぶりを見ていると4位はいけたな、EL(ヨーロッパリーグ)ではなくCLに出たかったなという気持ちはもちろんありますけど、結果としては大成功のシーズンじゃないですかね。8位で欧州カップ戦の出場権を逃してスカッドはボロボロ、チームもボロボロ。大敗を繰り返していた2022-23シーズンを考えると、昨シーズンは形にはなりましたし、ケガ人が続出した中盤戦がなければもっといけたという手ごたえもありますから、スカッドをより強化した2024-25シーズンは期待の持てる1年になると思います。 何よりポステコグルーって、コーチングスタッフをあまり自分から要望しないタイプの監督で、もともといたライアン・メイソンをコーチとして活用したり、スパーズでは既存のメンバー中心でスタートしたわけです。そんな中でしっかり結果を出した。ちょうど先日、新たにニック・モンゴメリーのコーチ就任が発表されましたけど、そういう意味ではけっこうな制約がある中での5位というのは見事でしたよね。対して、一番の不安要素は頑固さです。ポステコグルーが何を考えているのかよくわからん!ってことが終盤戦では相次いだので、新シーズンの序盤戦はどうなっていることか。もっと言うと、7月27日にどういうチームで来るのかというのは今季を占う大注目ポイントですね」 ――「明治安田Jリーグワールドチャレンジ2024 powered by docomo」ですね。この試合のプレビューを聞かせてください。 「一番注目しているのは、真ん中が混んでいないかどうか。昨シーズンの後半戦は中盤が渋滞したり、サイドバックが中に入ってくるタイミングが悪かったり、相手が引いているとビルドアップができず、マディソンやソンまでサポートに降りてくることがありました。そこにおかしな動きがあるかないかがチームの調子のバロメーターなわけです。なので、プレシーズンマッチで初めてスパーズを見る人が“なんか中がごちゃごちゃしてるな”と思ったらそれは失敗している状態。すっきりとボールが回っていたら本来の姿で、これがやりたいことなのねって基準になるかと思います。 あとは、苦手なセットプレーの守備に改善が見られるかどうかでしょうか。試合は殴り合いの展開になりそうですよね。スパーズは4バック相手はけっこう得意ですし。それでもカウンター時に前線でボールを収められる大迫勇也選手や、プレミア経験者で裏抜けが得意な武藤嘉紀選手もいますし、神戸には十分、スパーズ守備陣を脅かすチャンスがあるはずです」 ――さきほど伊沢さんの推しはダニエル・レビィという話もありましたが、選手で注目しているのは誰ですか? 「ソン・フンミンは当然として、今回の神戸戦に関して言うなら、ペドロ・ポロ! さっきも名前を挙げましたけど、スパーズの中心になった右サイドバックの選手です。なぜEURO2024のスペイン代表に選ばれなかったんだ?とみんなが言うレベルの選手で、落選時にはスパーズのチームメイトも相次いでInstagramにメッセージを送って励ますほど、昨シーズンは調子が良かった。もともとウイングバックの選手でサイドバック起用は疑問視されていましたが、守備能力を向上させて弱点ではなくなりましたし、もちろん攻撃への関与は素晴らしいです。 プレシーズンマッチだとある程度ローインテンシティのゲームにはなると思うので、ブレナン・ジョンソンやベルナーのような、スパーズに多い足を生かすタイプの選手は良さが出しづらいかもしれない。しかもなぜかポステコグルーはロングシュートを禁じているようで 、ソンの良さがあまり生きていない気がしていて。そんな中でポロはチームで唯一、積極的にロングシュートを打つことを許されている気配がします。 かつボールさばきや相手を外すのもうまい。ローテンポのゲームでもキックやタッチで見せられる選手なので、ポロをぜひみなさんに見ていただきたいです。スパーズのメンバーは180cmを超えている選手ばかりですから、その中では170前半で日本人的に馴染みのある体格のポロは見つけやすいと思います。 他にもファン・デ・フェンとロメロの両センターバックなど見てほしい選手はいますが、それぞれEURO(オランダ代表)とコパ・アメリカ(アルゼンチン代表)で上位に進出しているので来日してくれないかもしれない。EUROに出られなかった分、ペドロ・ポロには日本で大暴れしてもらいたいですね」